ルネサスエレクトロニクスと富士通、パナソニックの3社は、半導体のシステムLSI事業を2012年度中に統合する方向で、詰めの協議に入った。
官民ファンドの産業革新機構の出資を得て、スマートフォンなどに組み込む半導体の設計・開発専門の新会社を設立する。1000億円規模の投資が継続して必要になる製造部門を切り離す形で、国際競争力の強化を目指す。
3社は3月末までに基本合意し、今秋にも正式契約を結びたい考え。
●統合で採算性向上
革新機構は半導体の受託生産大手、米グローバル・ファウンドリーズとシステムLSIを生産する会社も設立する予定。
生産新会社がルネサスから鶴岡工場(山形県鶴岡市)を、富士通から三重工場(三重県桑名市)を、経営再建中のエルピーダメモリから広島工場(広島県東広島市)を、それぞれ買い取る案を軸に協議を始めている。
エルピーダは、広島工場売却後も生産ラインの一部を借りてスマートフォン向けなど最先端DRAMの研究開発や試作、量産を続ける。
3社が事業統合へ向け協議に入ったとの報道を受け、8日の東京株式市場でルネサス株は一時、前日比71円(14%)高の576円まで上昇。富士通株の上昇率も一時5%に達し、パナソニックも3%高まで上がった。エルピーダも10%上昇した。
市場では「規模と効率が何よりも優先される業界のため、統合で採算性の向上も見込める」との見方が出ていた。
【記事引用】 「日刊工業新聞/2012年2月8日(水)/1面」