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ローム、電機産業苦境の影 海外メーカーとの取引比率、5割まで引き上げ

2012-02-11 | 電子デバイス全般



 ロームは9日発表した2011年4-12月期の連結決算で、タイの洪水で100億円の特別損失を計上すると発表した。もっとも復旧は予想以上に進み、12年3月期通期は従来予想(180億円の最終赤字)を据え置いた。

 創業来初となる赤字の原因となったタイ洪水問題は収束に向かいつつある一方、足元では売り上げの多くを依存する電機産業の苦境が暗い影を落としつつある。


●13年3月期に黒字転換

 同社は昨年10月、タイの洪水で、システムLSI(大規模集積回路)の2工場が操業停止に追い込まれた。このうちナワナコン工場(パトムタニニ県)は同11月に一部再開し、今年1月には洪水前の供給量まで回復させた。

 今後は不振の子会社、ラピスセミコンダクタ(08年にOKIの半導体子会社を買収)の再建にも取り組み、13年3月期に黒字転換を目指すという。

 だが「再び成長軌道に乗せる」(沢村論社長)うえで、売り上げの約7割を日本企業、とりわけ電機大手に依存している事業構造が大きな壁になるかもしれない。

 代表的な半導体であるシステムLSIは同社最大の主力製品だ。システムLSIはルネサスエレクトロニクス、富士通、パナソニツクの3社が事業統合に向けた協議に入ったことが明らかになった。

 ロームも、注文に応じて個別に設計するカスタム品に強い。独自製品によって電子部品業界で存在感を放ってきたロームだが、ここにきてシステムLSIの収益力が落ちている。

 背景にあるのが、「リーマン・ショック後」を上回る電機の苦境。

 12年3月期にはパナソニック、シャープ、ソニーの最終赤字が計1兆2900億円に達する見通し。当分は世界中で日系電機メーカーからの受注拡大は望めそうにない。


●海外比率5割に

 このため、売上高に占める海外メーカーとの取引の比率を、「まずは5割まで引き上げる」(沢村社長)。

 昨年には中国内陸部やインド、ブラジルなど計10カ所に営業・技術支援拠点を設けるなど対策を急ぎ始めたが、環境悪化のスピードは加速するばかり。構造改革は時間との闘いになりそう。





【記事引用】 「日経産業新聞/2012年2月10日(金)/1面」


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