電子部品メーカーの東光は、ベトナムの自社工場で高性能な小型コイルを増産する。
新規ラインを導入し、2012年は月産個数を11年比2倍の1億個以上に拡大、中国での生産個数と合わせ月1億6000万個を生産する。薄型化や小型化が進むスマートフォン向けの需要を見込み、小型コイルで14年度に11年度比約4倍の売り上げを目指す。
●スマホ需要に対応
増産に乗り出すのはベトナム中部のダナン市にある工場。12年は十数億円を投じて新規ラインを導入するほか、製品の小型化に向けた研究・開発を進める。併せて同工場の現地従業員も11年比25%程度増員する。
スマートフォンやタブレット端末市場の拡大で需要が増えていることに対応する。
増産するのは、小型のコイル「DFE」。縦2.5mm、横2.0mm、高さ1.2mmと、普及するフェライトコイルに比べ体積は4分の1と小さい。小型だが、電流はフェライトコイルに比べて約2倍多く流すことができる。
スマートフォンなどの機器に流れる電気の整流などに使うパワーインダクターとしての役割を持つ。スマートフォン1台当たり8個程度搭載されている。
ベトナムで増産体制を敷く一方で、人件費が高騰しつつある中国の生産数量は現状を維持する。ベトナムの生産比率を12年中に現在の45%から62%にまで引き上げ、中国の生産比率は55%から38%にまで引き下げる。
●メタルアロイ好調
東光は電気を流す効率が高い「メタルアロイ」と呼ばれる高性能コイルを強みに持つ。
DFEはメタルアロイの中で最も小さいサイズ。半導体やテレビ向けなどの従来型コイルは苦戦しているが、メタルアロイはスマートフォンやデジタルカメラなど向けに好調。
14年度は、メタルアロイで11年度比2.3倍の約140億円の売り上げを目指す。
【記事引用】 「日本経済新聞/2012年2月27日(月)/4面」