東芝は23日、スマートフォンなどに記憶媒体として用いるNAND型フラッシュメモリーを生産する四日市工場(三重県)に、新棟を建設する計画を正式発表した。
今年7月に着工し、2011年春に稼働させる。
●価格競争強化
今後も米アップル社の携帯情報端末「iPad(アイパッド)」の発売などで需要の伸びが見込まれるためで、価格競争力を強化することで世界トップシェアの韓国サムスン電子を追撃する。
生産能力や投資額は「市場動向を見ながら最終的に決める」(東芝広報)と公表していないが、総投資額は最大で数千億円に上る見込み。
NAND型フラッシュメモリーは昨秋以降、iPhoneなどスマートフォンやデジタルカメラなどの需要が拡大し、市況が急速に回復している。
米調査会社のアイサプライによると、同フラッシュメモリーの世界市場は2009年に前年比14.8%増の135億ドル(1兆2200億円)まで拡大。
10年には前年比35%増の181億ドルにまで伸びると予測している。
東芝は08年2月に、同フラッシュメモリーを生産する四日市工場と北上工場(岩手県北上市)に総額1兆7000億円を投資して、それぞれ新棟を建設する計画を発表した。
その後、世界同時不況を受けて計画を凍結していたが、昨秋以降、需要回復が鮮明になったため、まず四日市から工場建設を再開させる。北上工場については引き続き再開を検討するという。
●海外勢に対抗
四日市工場には現在、同フラッシュメモリーの製造棟が4棟あり、生産能力は300ミリのウエハー換算で月間36万枚。現在は月間26万枚を生産している。
生産能力を引き上げることで、価格競争力を強化し、シェア拡大を目指す。
四日市工場の第3、4棟では現在、回路の線幅が32ナノ(ナノは10億分の1)メートルの製品を生産しているが、第5棟では今秋以降に投入する20ナノメートル台を製造する予定。
今春に先行発売するサムスンなど海外勢に対抗したい考え。
【記事引用】 「フジサンケイビジネスアイ/2010年3月24日(水) 」