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「日の丸半導体」復権へ舵 ルネサスとNECエレ、新会社を発足

2010-04-07 | 半導体業界



 ルネサステクノロジとNECエレクトロニクスの合併により1日、新会社「ルネサスエレクトロニクス」が発足する。両社の売上高は単純合算で約102億ドル(9520億円)と世界シェア3位に浮上。

 世界トップシェアのマイコンを武器に海外展開を加速し、“日の丸半導体”の復権に向けて舵を切る。

 ただ、業績は合併前の両社とも赤字から抜け出せておらず、当面は早期の黒字化が課題。世界トップの米インテルや2位の韓国サムスン電子とは別路線を追求し、得意分野で安定成長を目指す考え。


●安定成長目指す

 「経済の大きな変調があっても、他社に先んじて成長できるような会社にしたい」。

 新会社の社長に就くルネサステクノロジの赤尾泰社長は、フジサンケイビジネスアイの取材にこう述べ、不況下でも安定成長する会社を目指す考えを強調した。

 喫緊の課題は重複事業の整理。2社合わせた従業員数は約4万7000人で、工場も国内外で30カ所に上る。

 さらに、2社はともに2010年3月期で500億円前後の営業赤字を見込んでおり、固定費低減など合理化効果を早期に出さなければ、初年度の営業黒字化は達成できない。

 このため、新会社は1日から100日間かけて「事業仕分け」を実施。旧両社の担当者が重複技術や製品を整理、逆に重点強化する事業を検討する。

 新会社はCPUなどを組み込んだマイコンの世界シェアが60%以上となり、赤尾社長は「商品を統一することでリソースに余裕を持たせ、新しい成長分野に振り分けたい」と話す。


●海外展開の強化

 黒字化戦略のもう一つは海外展開の強化で、なかでも中国がターゲット。

 中国でのマイコンのシェアは2割程度にとどまるが、現地工場の生産能力増強によってコストを低減。売上高の海外比率を3年後に現在の44%から60%に引き上げる計画。

 半導体市況は、昨秋ごろからデジタル家電や自動車の需要増を受けて回復し始めており「今年前半は期待できる」とルネサスの赤尾社長は話す。

 長期的には電気自動車など自動車向け半導体を重点分野に位置づけ、開発・量産を急ぐ方針。

 新会社は、需要変動が小さいマイコンやシステムLSIに重点を置く。「ダウン時にダメージを受けないような体質づくりが大切」(赤尾社長)とリスク回避を優先する。

 ただ、調査会社ガートナー・ジャパンの清水宏之・主席アナリストはルネサスエレクトロニクスについて「価格競争ではなく、性能面の違いが鍵となる」と分析する。

 グローバルな競争に打ち勝つにはコスト削減だけでなく、技術開発の強化も不可欠。





【記事引用】 「フジサンケイビジネスアイ/2010年4月1日(木) 」


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