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モミ

 長池公園やまざとひろば付近の「モミ(樅)」。マツ科モミ属の常緑高木で大きくなると50メートルに達するものもあるようだ。写真はまだ50センチほどの幼木で、公園樹としてここに植えられたのだろう。
 モミといえばやはりクリスマスツリーのイメージで、ヨーロッパでは伝統的にヨーロッパモミが使われていたが、その後、入手し易いオウシュウトウヒ(欧州唐檜)(=ドイツトウヒ)なども多く使われている。日本ではこのモミやトドマツ、エゾマツなどが主流のようだ。
 時代小説好きの私は、モミといえば、やはり山本周五郎作の “樅の木は残った” を思い出す。昭和45年にはNHK大河ドラマにもなっていたが、当時の日曜午後8時の時間帯は、私はまだ中学生だったので、 “青春とはなんだ(昭和40年)” から始まる青春学園シリーズをずっと見ていた。
 物語は江戸時代初期に仙台藩で起こった伊達騒動を題材に、主人公の原田甲斐が、幕府の仙台藩取り潰しから藩を守るために、悪人の汚名を着せられながらも藩を守っていく姿が描かれている。物語の中で甲斐が庭の巨木の樅の木を見て、親を殺され甲斐に匿われた少女の宇乃に 『私はあの木が好きだ、船岡にはあの木がたくさんある、樅だけで林になっている処もある、静かな、しんとした、なにもものを云わない木だ、この樅の木を大事にしてやってくれ、この木は育つようだ、これまで移したのは枯れてしまったが、こんどのはうまく育つようだ』 と、話す場面がある。甲斐は己の生き様を樅の木の姿に重ね合わせていた。
 さて写真の幼木もうまく育ってくれるだろうか。ここに樅の木が残ってくれると嬉しい。
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