ソウル滞在中は,韓国人も知らないソウルのディープな一角を好んで探索していました。それらの多くが再開発の荒波にさらされて,次々に姿を消していくのが残念です。
そして東京。
じつはこの大東京にも,よく探せばソウルにまさるとも劣らないディープな場所があるのですね。
先日,このブログのコメンテイター,スンドゥブさんの誘われて,新宿は「思い出横町」に行ってまいりました。
お目当ての店は,なんと幻のコリアン料理,「セキフェ」を出すという店。セキフェは開高健の「日本三文オペラ」に紹介されている,豚の胎児入り子宮のさしみです。(→リンク)
「……こらァ,ちょっと,ろっくふえらあにもやれんというようなもんでなあ」
キムは顎を撫でながらうっとりと眼を細め
「朝鮮語でセキいうたら赤ン坊,フェは刺身ちゅうこっちゃ。つまり赤ん坊の刺身やな。これをひとくちやったら,三日は俯向けに寝られんちゅうわ」
「そらまた,なんで?」
「日なた水。目ェ,さましなはれ。男子一生の悩みが消えますのんや」
そしてこの料理を出す店の名前は「朝起」(あさだち)!
なんとも直截的,露骨な名前です。
メニューにはセキフェだけでなく,
豚のプラル(睾丸)の刺身
カエルのあらい(刺身)
サンショウウオの串焼き…
さまざまな猟奇的食材が並んでいます。
そして酒は
ハブ酒
マムシ酒
トカゲ酒…
(これは手強い…)
韓半島で犬,蚕のさなぎ,エイ(の腐ったやつ),ヌタウナギなどを征服したきた,さしもの私もさすがに尻込みするような豪華絢爛メニューです。
メニューのこの豪華さに比べ,店構えはこぢんまりしている。というか,はっきり言って狭すぎます。
二階もあるようですが,一階はカウンターのみ。しかし,カウンターに人が座っていると,その後ろを通るのがたいへん。いちばん奥の席は,梯子状の階段の真下の穴蔵のようなところで,手前の人をどかせなければ入れず,一度入ったらそう簡単には出てこられない。
そしてその手前のカウンターも,足の入れ場に困る上,お尻が半分落ちてしまうという状態です。
板「さて何にしましょう」
予想外に若い板前さんの威勢のいい声に,おずおずと
犬・ス「じゃ,金玉と子宮をお願いします」
板「あいよ。今日はイキのいいのが入ってるよ」
マ「いつもあるわけじゃないのよね。今日は運がいいわ」
と,板前さんのお母さんとおぼしきママ。
幸か不幸か,カエルのあらいは夏限定で,今はなし。ホッとしました。酒は,いちおう普通のビールにしておきました。サッポロ黒ラベルが出てきたのは嬉しい。
さてさて出てきたのは…。
文章だけで描写するのは難しいので,写真をほかのブログから拝借させていただきます。(→リンク①,②)
まず金玉。
ブログでは「生臭い」とかかれていたので覚悟して口に含むと,ぜんぜん生臭くない。レバ刺しをもっとやわらかく,クセがなく,水っぽくした感じ。ぽん酢とネギでいただくと,「おいしい」と言っていい。
犬「ほんとだ。新鮮だ」
マ「そうでしょう」
続いて子宮。
こちらのほうは,玉よりもコリコリした感じ。そして,ほんのりと独特の香りがただよいます。
(これは羊水のにおいなんだろうか)
でも,新鮮なだけあって,これはこれでおいしい。残念というべきか幸いというべきか,この子宮には胎児はいなかったようです。
犬「なかなかいけますね」
スンドゥブさんとうなずき合います。
ス「じゃ,もう少し別の奴もいこうか」
スンドゥブさんが狙っていたのは「フジツボ」。しかし,カエル同様,こちらも夏専用のメニューだったようです。
普通系からはハラミの串焼き。猟奇系からはサンショウウオの串焼き。
板「サンショウウオっていうのは,特別な味がないんですよ。だからタレの味で食べるんです」
たしかに姿はグロテスクだけれども,味はただのタレ焼き。かつて栃木県の奥地の温泉宿で食べたサンショウウオのテンプラよりも食べやすかった。
酒は途中から日本酒の冷酒に。そして最後はアン肝というごく普通の珍味でしめました。
犬「ここは昔からあるんですか」
マ「かれこれ40年になりますね。昔はもっといろんなメニューがあったんですよ」
(これ以上,何が…。恐ろしいことです)
食べ物のほうも珍しくてそそられましたが,カウンターの向こうで演じられる親子漫才もおもしろかった。ただ,この日はもう一件,韓国語の夜の学校に行く予定があったので,早めに切り上げたのでした。
そして東京。
じつはこの大東京にも,よく探せばソウルにまさるとも劣らないディープな場所があるのですね。
先日,このブログのコメンテイター,スンドゥブさんの誘われて,新宿は「思い出横町」に行ってまいりました。
お目当ての店は,なんと幻のコリアン料理,「セキフェ」を出すという店。セキフェは開高健の「日本三文オペラ」に紹介されている,豚の胎児入り子宮のさしみです。(→リンク)
「……こらァ,ちょっと,ろっくふえらあにもやれんというようなもんでなあ」
キムは顎を撫でながらうっとりと眼を細め
「朝鮮語でセキいうたら赤ン坊,フェは刺身ちゅうこっちゃ。つまり赤ん坊の刺身やな。これをひとくちやったら,三日は俯向けに寝られんちゅうわ」
「そらまた,なんで?」
「日なた水。目ェ,さましなはれ。男子一生の悩みが消えますのんや」
そしてこの料理を出す店の名前は「朝起」(あさだち)!
なんとも直截的,露骨な名前です。
メニューにはセキフェだけでなく,
豚のプラル(睾丸)の刺身
カエルのあらい(刺身)
サンショウウオの串焼き…
さまざまな猟奇的食材が並んでいます。
そして酒は
ハブ酒
マムシ酒
トカゲ酒…
(これは手強い…)
韓半島で犬,蚕のさなぎ,エイ(の腐ったやつ),ヌタウナギなどを征服したきた,さしもの私もさすがに尻込みするような豪華絢爛メニューです。
メニューのこの豪華さに比べ,店構えはこぢんまりしている。というか,はっきり言って狭すぎます。
二階もあるようですが,一階はカウンターのみ。しかし,カウンターに人が座っていると,その後ろを通るのがたいへん。いちばん奥の席は,梯子状の階段の真下の穴蔵のようなところで,手前の人をどかせなければ入れず,一度入ったらそう簡単には出てこられない。
そしてその手前のカウンターも,足の入れ場に困る上,お尻が半分落ちてしまうという状態です。
板「さて何にしましょう」
予想外に若い板前さんの威勢のいい声に,おずおずと
犬・ス「じゃ,金玉と子宮をお願いします」
板「あいよ。今日はイキのいいのが入ってるよ」
マ「いつもあるわけじゃないのよね。今日は運がいいわ」
と,板前さんのお母さんとおぼしきママ。
幸か不幸か,カエルのあらいは夏限定で,今はなし。ホッとしました。酒は,いちおう普通のビールにしておきました。サッポロ黒ラベルが出てきたのは嬉しい。
さてさて出てきたのは…。
文章だけで描写するのは難しいので,写真をほかのブログから拝借させていただきます。(→リンク①,②)
まず金玉。
ブログでは「生臭い」とかかれていたので覚悟して口に含むと,ぜんぜん生臭くない。レバ刺しをもっとやわらかく,クセがなく,水っぽくした感じ。ぽん酢とネギでいただくと,「おいしい」と言っていい。
犬「ほんとだ。新鮮だ」
マ「そうでしょう」
続いて子宮。
こちらのほうは,玉よりもコリコリした感じ。そして,ほんのりと独特の香りがただよいます。
(これは羊水のにおいなんだろうか)
でも,新鮮なだけあって,これはこれでおいしい。残念というべきか幸いというべきか,この子宮には胎児はいなかったようです。
犬「なかなかいけますね」
スンドゥブさんとうなずき合います。
ス「じゃ,もう少し別の奴もいこうか」
スンドゥブさんが狙っていたのは「フジツボ」。しかし,カエル同様,こちらも夏専用のメニューだったようです。
普通系からはハラミの串焼き。猟奇系からはサンショウウオの串焼き。
板「サンショウウオっていうのは,特別な味がないんですよ。だからタレの味で食べるんです」
たしかに姿はグロテスクだけれども,味はただのタレ焼き。かつて栃木県の奥地の温泉宿で食べたサンショウウオのテンプラよりも食べやすかった。
酒は途中から日本酒の冷酒に。そして最後はアン肝というごく普通の珍味でしめました。
犬「ここは昔からあるんですか」
マ「かれこれ40年になりますね。昔はもっといろんなメニューがあったんですよ」
(これ以上,何が…。恐ろしいことです)
食べ物のほうも珍しくてそそられましたが,カウンターの向こうで演じられる親子漫才もおもしろかった。ただ,この日はもう一件,韓国語の夜の学校に行く予定があったので,早めに切り上げたのでした。
フジツボなら、私も機会があればトライしてみたいです。
カエルも焼き物なら食べられそうです。
(学生時代に居酒屋のメニューで見たきり、
お目にかかってませんが…。)
ディープな世界探訪、次も楽しみにしてます。
ところで韓国人旅行ライターが書いた日本の美味しい店の本が出たのですが、
邦訳版が出ることを熱望しています。
書いたのはこちらのブログの方。
http://hertravel.egloos.com/
食べログのランキングよりも参考になりそうで(^ ^;)。
邦訳版が出る可能性ってどれくらいあるかしら…。
>韓国人旅行ライターが書いた日本の美味しい店の本
韓国人が日本のどんな料理を評価するのか,興味がありますね。
すごい店だったですね!(狭さも!)
次はゲテモノではないディープ東京を探索しましょう。