前に、「日本人にとって易しい言語、難しい言語」というタイトルで、記事をアップしました(リンク)。
このときは、日本語、英語、韓国語の子音、母音、音節の数を比較し、日本語の音韻が他の言語に比べて貧弱であることを指摘しました。
今回、ミャンマー語についても考察してみました。
ミャンマー語の音節は、
(頭子音+)(介子音+)母音(+末子音)
で構成されます。
ウィキペディアによれば、ミャンマー語の頭子音(音節の最初に来ることのできる子音)は34種類。
日本語は、
カ行k、サ行s、タ行t、ナ行n、ハ行h、マ行m、ヤ行y、ラ行l、ワ行w、ガ行g、ザ行z、ダ行d、バ行b、パ行p、シS(sh)、チc、ツts、フf、ジ/ヂjの19種類。
前のブログ記事では、f(正確には無声両唇摩擦音。英語のfのように前歯と唇ではなく、唇どうしを摩擦させる音)を抜かしていました。
一方、ミャンマー語には、合計34の頭子音があります。この中には、外来語にしか使わない音(f、r)、出現頻度の低い音(hw)もあり、それを除けば31。それでも、日本語の19に比べればずいぶん多い。
日本語にあって、ミャンマー語にないのは、ツtsの1つだけ。
それに対し、ミャンマー語にあって、日本語にないのは16種類もある。
歯破裂音のT、D(英語の歯摩擦音thと違い、歯と舌をはじく音。無声Tと有声Dがある)
有気音(強い出気を伴う音)の、kh、sh、ph、th、ch
鼻音の、ny、ng
前出気音を伴う、hn、hny、hng、hm、hl、(hw)
流音(r)
一方、日本語には拗音(ャ、ュ、ョ)があります。
キャ、ギャ、シャ、ジャ、チャ、ニャ、ヒャ、ピャ、ビャ、ミャ、リャ…
ミャンマー語でこれは介子音-y-にあたります。
日本語になく、ミャンマー語にあるのは、phy、hmy、hlyの3つ。
逆に、日本語の拗音はミャンマー語にすべてあるかというとそうではない。実は、日本語のキャキュキョ、ギャギュギョはミャンマー語にはないのです。
東京、京都などはミャンマー人は発音できない。
どう発音するかと言うと、「トーチョー」、「チョート」になります。
kyoがミャンマー人に、choと聞こえるのかどうかは、よくわかりません。
ただ、ミャンマー語からローマ字への転写の規則は、ミャンマー語の「cho」という音をローマ字でkyoと表すことになっています。
たとえば、ミャンマーの最高実力者、アウンサンスーチー女史のローマ字転写は、 Aung San Suu Kyi。チーの部分がKyiと転写されています。
その逆で、Tokyo、Kyotoというローマ字表記を、トーチョー、チョートと呼んでしまうのではないかと想像します。
また、介子音にはもう一つ-w-があり、34の頭子音のうち、29種類につきます。「クヮ」「ヌヮ」「ムヮ」などの音です。
ここまで子音を見てきましたが、母音も、広口のオやエなど日本語にない母音があったり、鼻母音や声門閉鎖音(日本語の促音、「っ」)があったり、さらに声調(3種類)があったりするので、日本語に比べてミャンマー語の音声はずっと複雑であるといえそうです。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます