仕事帰りに、上野で飲みました。
正確には御徒町。「上野千里香」は予約で一杯。花見帰りの客が流れてきているのでしょう。羊の串焼きが食べたかったので、別の朝鮮族の店、羊不同(リンク)で一次会。串焼きと、豚の脳みそをいただきました。酒はビールと紹興酒。
二次会は行きつけの居酒屋に行こうと思いましたが、営業していませんでした。
(定休日じゃないのにどうしたのかな。もしかしてユウスケに何かあったのか?)
この店には、ユウスケという名前の、17歳になるポメラニアンがいます。歳も歳だし、病気がち。この前行ったとき、ママさんが「そろそろ危ないかもしれない」などと言っていました。(リンク)
仕方なく、その近くで別の店をさがします。
「韓国のお店があるね」
見ると、韓国語の看板がありました。
그냥포차(クニャンポチャ)
「ここにしよう」
階段を上がっていくと、きらびやかな装飾のお店。テーブルはドラム缶です。
「韓国みたいだ」
ポチャというのはポジャンマチャ(布張馬車、屋台式飲み屋)を縮めた言葉。もともとは路上にビニールシートのテントを張って営業する屋台式飲み屋のことで、それを西部劇などで出てくる幌馬車に見立てたもの。室内の居酒屋も、室内布張馬車(シッレポジャンマチャ)などと言ったりします。
クニャンは、「ただ、なんとなく」などを意味する副詞。
「ただの居酒屋、普通の居酒屋」といったところでしょうか。
一次会でお腹いっぱいになっていたので、プチュジョン(ニラのチヂミ)だけ頼み、生ビール、続いてチャミスル(韓国焼酎)。
「まだこれも残っているんですけど」
連れがカバンからとりだしたのは、一次会で余った紹興酒。
「もったいないからそれも飲もう」
お店の人に気づかれないよう、焼酎グラスにこっそり注ぎます。
ビール、チャミスル、紹興酒のトリプルパンチが効いて酔いが回ります。
トイレに立ったとき、思わずよろめきました。
「なんか、足にきたみたい」
席に戻るとき、カウンターのところでお店の人に韓国語で話しかけてみました。サービングの女性が韓国人であることは、注文の受け答えでわかっていたからです。
「韓国の方ですか?」
「はい、私は韓国人で…」
「ぼくはキョッポです」
厨房からマスターが答えます。キョッポ(僑胞)というのは在日韓国人のこと。
「お客さんも韓国人ですか」
「いえ、日本人です。昔、韓国に住んでいたんですよ」
そろそろ終電の時間が気になり始めていたので、席を立ちました。
三人全員、千鳥足で御徒町の駅に向かいました。
翌日、お店のことを調べてみると、マスターはすごい経歴の持ち主でした。
なんと、元ボクシングの世界チャンピオン!
WBA世界スーパーバンタム級チャンピオン李冽理(リ・レツリ)さんということです。
ぜんぜん「ただの居酒屋」ではなかった!
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