帰路の、とある関西のサービスエリアのレストランで、鰻丼定食というメニューに遭遇しました。
これを見てちょっとひっかかるものがあった。まず、鰻丼と定食の組み合わせが目新しかったこと。もう一点は、ショーケースに陳列されていたのが丼ではなく重箱に入っていたこと。
まず一点目について考察してみます。
鰻丼と定食の組み合わせになぜ違和感を覚えるか。
普通、○○定食といえば、刺し身定食とか、焼き魚定食とか、焼き肉定食とか、鶏の唐揚げ定食とか、○○の部分におかずの名前が来る。おかずとご飯と味噌汁で「定食」というのが私の定食イメージでした。
鰻丼定食といわれると、鰻丼をおかずにしてご飯を食べるのか、ご飯がだぶってしまうのではないか、という疑念にかられるわけです。
で、サンプルを見ると、鰻丼と味噌汁と漬け物ともう一つ小鉢がついている。鰻丼とは別にご飯がついているわけではない。どうも、ただの鰻丼よりもたくさんついていてお得ですよ、ということをアピールしているらしい。こういう定食の使い方もありなんでしょうかね。
さて、2点目は、鰻丼であるにもかかわらず、重箱に入っているという問題。
鰻丼に限らず、○○丼という名前の食べ物は、器がいわゆる丼、深めの陶器製の容器に入っています。一方、○○重のほうは四角い重箱(昔は漆器だったらしいですが最近はプラスチックが多い)に入っている。そして重箱のほうは蓋つきである場合が多い。
○○丼と○○重の違いもよく話題に上りますね。たんなる容器の違いだけなのか、それにしては「重」のほうが値段が高いことが多いのはどういうわけなのか。そもそも重箱とは、二重三重に重なっているから「重」なのではないか、など。
これについて不思議に思う人がいるらしく、すでにヤフー知恵袋のようなところで何人かから質問されています。結論は「器が違うだけ」のようです。
ある鰻屋の主人によれば、昔の鰻重は重箱の下の部分に引出し状の箱がついていて、そこに熱湯が入れられていて、上の鰻重が冷めないようになっていたとか。別の説によれば、昔は二段重ねで上に鰻の蒲焼が、下にご飯が入っていたとのこと。
私は50年の人生でまだそんな鰻重にお目にかかったことはありません。といっても、50年間で鰻重を何回食べたかというと、あまりに少なくて思い出せない(たぶん五回ぐらい?)。中学生のとき、法事の帰りかなにかに、日本橋高島屋の特別食堂で鰻重の松、三千円を食べたのが鰻重初体験だったことを覚えています。
現在の鰻屋さんには三つのタイプがあり、①鰻丼だけ出す店、②鰻重だけ出す店、③鰻丼と鰻重を出す店。このうち①、②は鰻丼または鰻重にそれぞれ松竹梅の等級を設け、うなぎの質に差をつけている。一方③は、鰻重のほうが質のいい(量も多い?)鰻を使っているらしい。
概して鰻丼よりも鰻重のほうが高級イメージがあり、実際、鰻重の値段のほうが高い。○○重というのはB級グルメには似合わない。天重、かつ重はあっても、牛丼ならぬ牛重とか、親子重とか、中華重などというものはない。
ここで、最初のサービスエリアの鰻丼定食に戻ると、サンプルがあきらかに鰻重なのに名前が鰻丼になっているのはなぜか。
いくつかの理由が考えられます。
①鰻重と書くと、それだけで高そうなイメージがあり、客が敬遠してしまうのであえて「鰻丼」の名前をつけた、
②値段が安く名前も謙虚に鰻丼としているのに、実際には質の良い鰻重を出すという店の良心的な姿勢をアピールしている、
③ショーケースの印刷の誤植(×丼→○重)、
④ショーケースの見本の誤り(実際の商品は鰻丼)、
⑤関西では重箱に入ったものを鰻丼という。
どれが正解であるかは、実際に店に入って、鰻丼定食を食べてみれば明らかになったかもしれませんが、私たちがこのSA(サービスエリア)に入った目的はたこ焼きだったので、結局、この謎が解かれることはありませんでした。
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最初、記号が何を意味するのか分かりませんでした…f(^_^;
今度から、かっこつき数字にします。