写真:ブラームス
趣味は音楽鑑賞です。
といったとき、どういうイメージを持つでしょうか。
趣味は音楽です。
というと、バンドとか、ピアノとか、自分で何か楽器をやっていそうなイメージがあります。カラオケが好きな人は「音楽」というより、はっきり「カラオケ」というでしょう。
音楽鑑賞というと、自宅でCDを聴くのが好き、という感じがします。中には、コンサートによく行くという人もいるかもしれません。
昨年、久しぶりにクラシックのコンサートに行きました。
東村山交響楽団という市民オーケストラの、数年ぶりの定期演奏会です。ここ数年、コロナ禍で開けないでいたそうです。
チェロを趣味にしている知り合いが団員の一人で、チケットをいただいたのです。
曲目は、メンデルスゾーン、ビゼー、ブラームス。
いずれも有名な作曲家ですが、メンデルスゾーンとビゼーの曲はマイナーです。
会場でもらったパンフレットによれば、メンデルスゾーンの「ルイ・ブラス」序曲作品95というのは、メンデルスゾーンが戯曲の序曲として依頼されたけれども、戯曲の内容も気に入らず、依頼者の態度も不遜で腹が立ったため、たった3日で書き上げたんだそうです。
ビゼーの「交響曲ハ長調」はビゼーが17歳のときの習作で、楽譜は死後発見されたとのこと。
いずれも、めったに演奏されない曲のようです。
なぜこのような選曲が行われたかわかりませんが、アマチュア・オーケストラにとって、演奏の難易度や、各楽器パートの出番ができるだけ公平になるように、といった配慮がされたのかもしれません。
最後のブラームス「交響曲第一番」は、いわずと知れた名曲。コンサートでもよく演奏されますし、CDもたくさん出ている。私も、若いころ、ズービン・メータ、ウイーンフィルの名演奏を繰り返し聞き、よく知っていました。
そして、演奏は、最初の二曲は楽しめませんでした。曲が駄作であるとか、演奏が稚拙だったということではありません。
どんな曲でも、初めて聴く曲は、楽しめないのですね。「絵画鑑賞」と違って、パンフレットで「知識」を得ても、曲そのものが頭に入っていないと、「わからない」のです。
これは、絵画鑑賞と(クラシック)音楽鑑賞の違いであるように思います。
自分の頭の中にその曲の「標準的な演奏」があって、その演奏と、新しく聞く演奏とを絶えず比較しながら、意外性や新鮮さを感じることが、「感動」につながるようです。
ブラームスは、もちろんCDになっている演奏におよぶべくもないものの、アマチュアの演奏として充分に楽しめました。
逆に絵画鑑賞の場合、画集などで見て、よく知っている名画を実際の美術館で見たとき、その大きさなどに驚くことはあっても、「貴重な絵画の実物を見た」という感銘しか得られません。
むしろ、初めて見る画家の作品や、有名画家だけれども、画集には載ってない作品を「初めて」見て、感動することが多いようです。
時を置かずに、音楽鑑賞と絵画鑑賞をしてみての、新たな発見でした。
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