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犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

ディープ東京探検

2011-08-01 23:32:21 | 日々の暮らし(帰任以後、~2015.4)

 ディープソウル探検の記事を読んだコメンテーターのスンドゥブさんから、

「東京にも似たようなところがある」

という情報をいただき、さっそく探索してきました。

 まずは江戸川橋のやきとんの店で腹ごしらえ。モレネ市場探索のときの「鶏内臓・牛肺鍋」に似た店です。こぢんまりした店で、金曜日の夜は並ぶことが多いようですが、運良くちょうどカウンターが2席空いていたので雨の中待たされるということはありませんでした。

 各種内臓の焼きもの(やきとん)がメインですが、モツ刺身(7種盛り合わせ)が野趣あふれる逸品。

 コブクロ(子宮)、レバー(肝臓)、ハツ(心臓)、タン(舌)、ガツ(胃袋)、チレ(脾臓)、フワ(肺)を、ポン酢とニンニクでぐちゃぐちゃに掻き回していただきます。この日はフワが品切れで6種盛りになってしまったのが残念。飲み物はホッピーとか電気ブランなどという強者もありましたが、サッポロ黒ラベルと地酒の住吉にしておきました。

 新宿の思い出横町の「」に匹敵する、ワイルドなお店でした。

 ほろ酔いになったところで地下鉄、東上線を乗り継いで練馬方面へ向かいました。めざすは「楽天地」。

「前から気になっていたんですけど、どうも一人で行く勇気がなくて…」

 ちょうど翌日、阿波踊りが行われるということで提灯が飾りつけられている商店街から、件の路地を除くと…。昭和30年代にタイムスリップしたのではないかというような飲み屋の看板が並んでいます。しかし、看板のいくつかは電気が消え、すでにつぶれているのか…。

 一軒一軒、中の様子の窺いながら路地のいちばん奥までいくと、ある一軒からママさんというかババさんか出てきた。

「あらいらっしゃい」

「あ、いえ…」

とあいまいな返事。われわれが店の外観なぞをしげしげと見ていると

「二階にはもう上がれないよ」

と謎の言葉。

「初めて来たんですけど…」

「そう。ま、よかったら飲んでいきなさい」

 80歳は超えているのではないかと思われるそのママさんのお店には客は一人もなし。逡巡の末そこはパスして、お客さんの入っている別の店に。

 その店もやはりママさんは大年増。80過ぎているでしょう。そしてお客さんは70歳ぐらいの、やはりお婆さんと60代ぐらいの男性のカップル(?)。われわれ50代は「楽天地」では若輩者のようです。

「いつからあるんですか?」

「私は20年だけどね、店は50年ぐらいじゃないかな」

 なんでも昔は、近くにある自衛隊駐屯地の自衛官相手に結構賑わったらしい。

「軍隊のそばに風俗あり…」

 沖縄しかり、横田しかり、韓国の米軍基地周辺しかり。ここで思い当たったのがさきほどの謎の言葉。

「きっと昔は二階が「ちょんの間」になってたんだね」

 このときソウル・モレネ市場の奥の、暗いピンク色の照明のともるオンドル部屋が思い出されました。

 その間、ママはソース焼きそばを作っている。焼きそばに刻み海苔をふりかけていたのが妙に印象に残りました。話が弾むわけもなく、ビールを一本だけ空けてお勘定。

「あら、もういっちゃうの?」

 おばあさんは残念そう。

「明日は阿波踊りだからまたいらっしゃい」

 路地の雰囲気は妖艶でしたが、ただの安い居酒屋でした。

 次に向かったのはスナック街。

 スナック「どうぶつ園」なんていうのがあって、どんな動物が出てくるのか恐いもの見たさで興味はありましたが、敬遠。ドアを開けたところは、地元のおなじみさんらしき老人連中で満員の店でした。カウンターの隅にすべりこむと、いきなりソバがでてきたのは驚いた。

「今日は前夜祭だからサービスです」

 日本語がなまっているので聞いてみると、台湾出身のママさんでした。練馬近辺は昔は農村。それが都市化の波に乗って土地の価格がとんでもなく上がったために土地成り金がたくさん生まれた。そんな農家のどら息子を相手にしたぼったくりの飲み屋があると聞いていたので、警戒していましたが、良心的な店のようです。

「今は妹に譲ってるんだけどね、今日は手伝いにきたの。贔屓にしてね」

 妹さんは歌が上手く、昔は結構な美人だったと思われます。雰囲気は悪くないものの、さすがに常連さんの中に溶け込むのも難しく、やはりウーロン杯一杯で退散。

「じゃ、私の行きつけのスナックに行きましょう」

 タクシーで乗り付けたのがスンドゥブさんが1年ほど前に見つけて、通うようになったというスナック。客はすべてお馴染みさんです。さまざまな職業の人が来ているとのことで、この日は在日韓国人の若者に知り合いました。

 日本生まれながら韓国語を身につけるために総連系の学校に通い、その後韓国と米国でも暮らして日本に戻ってきたという国際人。この店の中で20代は珍しいのですが、とても気に入っているようで、常連になっている。

 とても居心地のよい店で長居をしたかったのですが、終電の時間が来て、中座しました。

 日本でサーチャ(四次会)までというのはもしかしたら初めての経験です。


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4 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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Deep Tokyo (スンドゥプ)
2011-08-02 12:42:32
またネタを探しておきますので、同行よろしくお願いします。
一人でイク勇気がありませんので...
返信する
次のネタ (犬鍋)
2011-08-02 22:28:43
楽しみにしております。
返信する
Unknown (某延世大留学生)
2011-08-02 23:07:22
今度ぜひ連れて行ってください^^
返信する
ディープ東京 (犬鍋)
2011-08-04 23:33:31
ぜひ一緒に探索しましょう。
返信する

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