金星版『国語大辞典』の天下が続くかと思われた韓国辞書界に,国家の肝入りの大型辞典が登場しました。
1999年に東亜出版社から刊行された『標準国語大辞典』(全3巻)です。出版社は東亜ですが,編纂は国立国語院。日本の国立国語研究所にあたる国家機関です。
ときの文化観光部長官(大臣)が10月9日の「ハングルの日」に書いた発刊の辞には、
「今年(1999年)は政府樹立51年目だ。世宗大王がハングルを創製されたのも朝鮮王朝が建国されて51年目だった。世宗大王のハングル創製とこの辞典の発刊が、国家の樹立後同じ年月を経て成し遂げられたことは偶然ではない」
とある。
「偶然ではない」なんて言っちゃって、自分が無理矢理日程を早めさせた疑いが濃厚です。
理由はただ一つ,この歴史的な本(?)に自分の名を残したいから。
国立国語研究院長の「序文」には、編纂作業は92年に始められ、10年計画の予定だったが2年早く完成した、と書いてある。そして刊行直後の新聞記事に、突貫作業のため、不備が多いという指摘もあった。
そもそも、これだけの規模の辞典編纂を10年でやっちゃおうということからして無理がある。同じ頃に企画された日本の『集英社国語辞典』は、10万語クラスの小型辞典だけど10年以上かかっているし、『広辞苑』の向こうをはった『大辞林』は、初版刊行までに27年をかけた由。
それでも「国家」の権威のおかげで『標準』はバカ売れし,金星版『国語大辞典』は影が薄くなった。韓国は国家の権威に弱いですから,みないっせいに『標準』のほうに乗り換えた。
当初,インターネットの国語辞典も『金星版』だったものが,大手の検索エンジンが次々に『標準』に切り換え,ついに金星出版社は『金星版』の改訂作業を中止。
韓国の国語辞書の進化がこれで止まってしまうかもしれません。なんとも残念なことです。
〈関連記事〉
辞書の話~国語の大型辞典2種
1999年に東亜出版社から刊行された『標準国語大辞典』(全3巻)です。出版社は東亜ですが,編纂は国立国語院。日本の国立国語研究所にあたる国家機関です。
ときの文化観光部長官(大臣)が10月9日の「ハングルの日」に書いた発刊の辞には、
「今年(1999年)は政府樹立51年目だ。世宗大王がハングルを創製されたのも朝鮮王朝が建国されて51年目だった。世宗大王のハングル創製とこの辞典の発刊が、国家の樹立後同じ年月を経て成し遂げられたことは偶然ではない」
とある。
「偶然ではない」なんて言っちゃって、自分が無理矢理日程を早めさせた疑いが濃厚です。
理由はただ一つ,この歴史的な本(?)に自分の名を残したいから。
国立国語研究院長の「序文」には、編纂作業は92年に始められ、10年計画の予定だったが2年早く完成した、と書いてある。そして刊行直後の新聞記事に、突貫作業のため、不備が多いという指摘もあった。
そもそも、これだけの規模の辞典編纂を10年でやっちゃおうということからして無理がある。同じ頃に企画された日本の『集英社国語辞典』は、10万語クラスの小型辞典だけど10年以上かかっているし、『広辞苑』の向こうをはった『大辞林』は、初版刊行までに27年をかけた由。
それでも「国家」の権威のおかげで『標準』はバカ売れし,金星版『国語大辞典』は影が薄くなった。韓国は国家の権威に弱いですから,みないっせいに『標準』のほうに乗り換えた。
当初,インターネットの国語辞典も『金星版』だったものが,大手の検索エンジンが次々に『標準』に切り換え,ついに金星出版社は『金星版』の改訂作業を中止。
韓国の国語辞書の進化がこれで止まってしまうかもしれません。なんとも残念なことです。
〈関連記事〉
辞書の話~国語の大型辞典2種
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます