犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

韓国ではペットを飼っていることを隠すらしい

2021-12-07 23:09:57 | 韓国雑学
写真:韓国の固有種、珍島犬

 少し前の記事で、韓国の次期大統領候補、李在明(イ・ジェミョン)のペットに関する公約を紹介しました。(リンク

 李在明は公約を発表したfacebookで、

「韓国では4世帯に1世帯の割でペットが飼われている」

と書いていました。

(そんなに多いの?)

 近年、韓国はペットブームと聞いていたものの、いくらなんでも多すぎるんじゃないでしょうか。15年ほど前まで韓国に住んでいたときの実感と大きく違います。時代が変わったのかもしれませんが、気になってちょっと調べてみました。

 すると、9月27日の聯合ニュース(リンク、韓国語)にこんな報道がありました。

 統計庁は昨年の人口住宅調査で、ペットに関する項目を新設した。わが国の7世帯中1世帯で、犬、猫などのペットが飼われていることがわかった。

 本日、統計庁が発表した2020年人口住宅調査サンプル集計の結果、ペットを飼う所帯は、312万9千所帯で、全世帯の15.0%を占めている。


(???)

 統計庁は7世帯に1世帯と言っているのに、李在明は4世帯に1世帯嘘をついているんでしょうか。

 「デイリーペット」というペット専門のオンラインニュース(リンク、韓国語)でも、同じ統計が取り上げられていました。

 わが国のペットを飼う所帯が313万所帯と言う調査が出た。これは、600万世帯以上と推定されていたこれまでの調査の半分にすぎない。

 この記事によると、農林畜産食品部(農食部、日本の農水省)が今年4月に発表した「2020動物保護国民意識調査」では、ペットを飼う世帯が638万世帯、KB経営研究所が今年3月に発刊した「2021韓国ペット報告書」では604万世帯で、いずれも600万世帯を越えていたとのことです。

 李在明は、統計庁ではなく、農食部またはKB経営研究所の数字をもとにしていたようですね。

 統計庁は、人口など正確なデータが必要なものは全数調査を行っていますが、ペットについては全体の20%の世帯にサンプル調査(自宅訪問)をしたそうです。

 一方、農食部は全国成人男女5000人を対象としたオンライン調査、KB研は同1000人。

 サンプル数が圧倒的に多いし、調査方法も訪問して直接確かめるので、統計庁のデータのほうが信頼性がありそうです。

 しかし…

 notepetというサイト(リンク、韓国語)で、この統計の違いについて分析しています。

「調査員の前では口を閉ざす?」…人口住宅総調査でペットを飼う世帯が半分

 ペット調査では、訪問調査はオンライン調査より少ない結果が出る傾向がある。

 シャイ保守リンク)ならぬ、シャイ飼い主!(隠れ飼い主)

 法的義務であるペット登録が行われている割合が、高くても半分程度と推算される中、犬や猫を飼っていることを知られると具合が悪いことが起こるのではないかという気持ちから、調査員に正直に答えないのではないか、と疑うほかない。

 なんと、登録していないことがバレると具合が悪いから、隠す人が多いんですね。

「具合が悪いこと」というのは、すなわちお金がかかるということです。

 韓国の法律では犬を飼うと自治体に登録しなければならず、首輪につける鑑札なら約300円、マイクロチップなら約1000円が必要(猫の場合は義務ではなく、任意)。そして無登録が露見すると罰金が約4万円

 罰金を払うことになるのが恐いから、飼っていることを隠すのか…。

 日本も同じような制度があって、登録に3000円、それ以外に狂犬病やフィラリアの予防注射代が必要です。でも、お金を節約するために登録しない人なんて、いるんでしょうか。

 うちも犬を飼っていますが、もちろん登録しています。

 なお、日本の犬・猫の飼育所帯率は、社団法人 ペットフード協会の統計(リンク)によると、犬が11.85%、猫が9.6%。合わせれば21.45%ですが、両方飼っている世帯もあるのでそれよりは低いでしょう。

 韓国統計庁の数字(15%)より多いけれど、「隠れペット」を含めると、日本と韓国はいい勝負なのかもしれません。

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