三日目は、このブログにもよく登場する在韓20年の日本人Kさんと、夕食の約束をしていました。
日本で生肝(センガン=レバ刺し)が食べられなくなったので、センガンがサービスで出るコプチャンの店をリクエストしてありました。すると、その手の情報にくわしいお医者さんの韓国人、金某氏に連絡してくれて、チョンノ(鍾路)で待ち合わせ。私が行ったときには、金氏が先に着いていました。「Bali」の文字の入ったTシャツ姿。
「犬鍋さん、私、結婚しました」
「へぇ! いつですか」
「二週間前です」
「!! じゃ新婚ですね」
「ええ。日曜日に新婚旅行から帰ってきました」
「どこへ?」
金氏はTシャツを指さしました。
「よかったですよ、バリは。なんでも安くて。とくにバリ式マッサージは最高でした」
そこへK氏、そしてもう一人の飲み仲間、李某嬢が到着。彼女は持ち前の日本語力を活かして観光ガイドをやっています。
入ったのは、鍾路の狭い路地奥のホルモン屋。ずいぶん歴史のある店のようで、私の好みです。
ちゃんとつきだしにセンガン(レバ刺し)とチョニョプ(センマイ=牛の第三胃)が出てくる。
「これこれ!」
私がその場の最年長でもあり、最初に手をつけました。ごま油と塩でいただきます。生きのいいレバーです。つまみは、ヤンとコプチャンとヨムトンの三種クイ。ヤンはミノ(牛の第一胃)、コプチャンは小腸、ヨムトンはハツ(Hearts=心臓)のこと。石板の上で、一緒に焼きます。テンジャン(味噌)をつけてもいいし、センガンと同じく塩とごま油でもいい。私は後者が好みです。
メインディッシュが来る前にお通しのセンガンがなくなったのでおかわりを所望します。こんなときにも嫌な顔をしない気前のよさが、韓国の魅力です。
ビールを手始めに、焼酎の瓶が快調に空いていきます。バリの話から、スマートホンの話、昔の携帯がいかにデカかったか、高かったか…。今、韓国では「スマホでないものは人間じゃない」という勢いでスマホが広がっているようです。もはや普通の携帯のほうが入手が難しく、値段も高いとか。
この日は、私の会社の同僚で飲み仲間の一人でもある朴某氏があとから合流することになっているし、金氏の新妻も来るとのこと。それで、場所を変えることにしました。
向かったのはワサドゥン(瓦斯灯=ガス灯)。仁寺洞の入口のバッティングセンターの裏にある、マッコルリの店です。ここは80年代の民主化運動華やかなりし頃、警察に追われた活動家の隠れ家として使われていた、由緒ある店。
主人のハルモニは今は80歳近い。数年前に火災で店舗の半分を焼失。残った半分で営業を続けています。天井から壁から、落書きで埋めつくされているのが特徴でしたが、天井は傷みが激しかったためか、板が貼り直されていました。椅子や机もガタガタだったものが、リニューアルされている。
洗面器になみなみと入ったマッコルリのつまみはイミョンスオ。イミョンスオとは、日本のホッケに似た魚。昔、林ヨンス(イム・ヨンス)という太公望がよく釣った魚で、その人の名前をとって、イミョンス・オ(オは魚)と呼ばれています。
そこへ金夫人登場。ソウル郊外で小学校の先生をやっているとかで、そこから駆けつけてきたとのこと。私の友人のほうは来ないばかりか、電話にも出ない。何か事故があったのでしょうか。
マッコルリ&イミョンスオもほどなくなくなり、三次に向かいます。
地下鉄鍾路3街駅の北側に広がる飲み屋街。初日に乗ったタクシー運転手が言っていたような安いシルレポジャンマチャ(室内布張馬車)が軒を連ねます。行こうとしていた店はまもなく閉店ということなので、同じタイプの別の店へ。店が決まったところで、私はやっと連絡のとれた朴某氏を迎えに行きます。なんでも、食事のあと社長と個別に話があって電話に出られなかったとのこと。
金夫人を除き旧知の仲ですが、実際に会うのは久しぶり。ところが、金氏は朴氏とその夫人のことをよく知っているという。フェイスブックの友人になっていて、朴氏が頻繁に更新する写真を見ているからだそうです。
そこへ朴夫人も登場。総勢7人のにぎやかな会食になりました。朴夫人は音大を出て、やはり教育関係の仕事をしているようで、職場が近くらしい。仁寺洞と鍾路の間には、ナグォンサンガ(楽園商街)という楽器市場があり、音楽関連の会社も多いのでしょう。
一時日本で「学級崩壊」が騒がれましたが、初等学校(=小学校)教師の金夫人によれば、韓国の学校でもそのような状況が現出しているらしい。授業は上の空で歩き回ったり、突然大声をあげたり。そんな子どもに対して、教師は体罰を振るうことができない。親からの告訴が恐いからです。「教鞭をとる」という言葉がありますが、韓国ではわりと最近まで「教鞭」というムチが使われていて、ビシバシ殴っていたらしい。しかし、今はできなくなっているようです。その場では「体罰は必要だ」という意見が大勢を占めました。話を聞けば、モンペア(モンスターペアレンツ)もいるそうなので、遠からずこの言葉も韓国で定着するでしょう。
客はわれわれだけになり、アジュンマも片づけを始めたので店を出ることに。
「犬鍋さん、もう一軒いいですよね」
「うん、明日は帰るだけだし、飛行機は遅いし」
ということでサチャ(四次会)へ。翌日、早くから仕事があるという李嬢を除き、今度は「室内」ではなく、屋外のポジャンマチャ(布張馬車=屋台)に行きました。
かなり酒が回って、何を食べたのか、何をしゃべったのかも翌日はすっかり忘れてしまいましたが、楽しい雰囲気だけは覚えています。
最後は、朴夫妻の車でホテルまで送り届けてもらいました。
ソウルに行くたびに、昔からの飲み友達が集まって、楽しい宴席を設けてもらうことができ、まことにありがたいかぎりです。
ヨロブン、カムサハムニダ!
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