犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

来日初散髪

2022-01-26 20:06:23 | 日々の暮らし(2021.2~)
 来日して1か月が過ぎると、D(娘の夫)の髪の毛もそれなりに伸びます。

「そろそろ床屋に行く?」

「はい。でも日本語ができないから…」

「じゃ、いっしょに行こう」


 最近見つけた、格安の散髪屋です。もとQBハウスで働いていたご主人が独立して、QBよりもさらに安い値段で営業しています。カットは税込み1100円ポッキリ。

「やっぱり、日本は高いですね!」

「えっ? 日本の中では激安だよ。普通は4000円ぐらいする」

「フィリピンは80ペソだから、
160円ぐらい」

「安!」

 日曜日で天気も良かったので、娘と孫も散歩がてら、いっしょに行きます。

 床屋にほかのお客さんはおらず、ご主人と奥さんが手持ち無沙汰にしていました。

 刈り方については、スマホのサンプル写真を見せて、「こんな感じにしてください」と頼みます。

「よし、わかった!」


 威勢の良いご主人です。

 私は近所で別の所用を済ませ、20分後ぐらいに戻ると、ちょうど終わったところでした。

 Dを先に帰らせ、私が散髪してもらいます。

「この前はどうも」

「え? ああ、あのときの!」


 前回来たときは韓国の整形手術の話で盛り上がったのですが(リンク)、マスクをしていたせいか、すぐには気づかなかったようです。

「さっきのは娘さんとお孫さん?」

「はい」

「お若いですね! 孫がいる歳には見えません」


 奥さんがお世辞を言います。

「実は娘があと三人いて、いちばん下の娘の旦那はスウェーデン人なんですよ」

「すごい国際的なご家族ですね!」

 奥さんが一時、韓流ドラマにはまっていたと聞いていたので、また韓国の思い出話をしました。

「韓国では、息子がいないと気の毒がられるんですよ。男の子がいないと、家系が断絶するとか言って」

 かつて韓国のタクシーでえらく気の毒がられた話を披露しました(リンク)。

 15分ほどで散髪が終わり、家に帰ってみると、Dがしょげていました。

「こんなふうにされちゃった。ブロッコリーみたい」

「ブロッコリー? そんなことないよ、カッコいいよ。だって、サンプル通りでしょう?」


「いえ、サンプルは横にも髪がありました」

と言ってスマホを示します。たしかに、Dの髪型は左右が垂直に刈り上げられています(冒頭写真)。

「就職の面接、大丈夫ですか。ヤンキーみたいで」

 今就活中のDは、これからたくさん面接を受けなければなりません。

「大丈夫だよ。髪型より重要なのは日本語力だから」

 DはさっそくSNSに写真をアップしましたが、家族や友人の評価は、「ブロッコリー」ではなくて、「パイナップル」でした。

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