結局、バンコクには4泊しました。
そのうちの二回、会食の後にタイの底辺労働者の取材を敢行しました。別の言い方をすれば、カラオケに飲みに行きました。
私の知っている歓楽街はスクンヴィット街。日本人(とその他の外国人)の集住地域です。会食をした場所からは車で20分の距離ですが、昼間雨が降って渋滞が激しいので、まず地下鉄でスクンヴィットへ行き、そこからタクシーに乗ります。
向かったのは、スクンヴィットでも規模の大きいカラオケ。入るとズラリときらびやかな衣装を来た女性が嬌声をあげます。
その数30人以上。
女性たちは、それぞれ指を立ててサインを送ります。語学力(タイ語だけ、日本語可、英語可、日英可)と、お持ち帰りの可否(売春するかどうか)の二種類の情報を組み合わせて、1~6のサインをつくり、指で示すのですね。1(タイ語のみ、持可)、2(英語可、持可)…のように。
私は持ち帰る気がなかったので、どのサインでもよかったのですが、タイ語や英語は自信がないので、5(日本語可、持不可)のサインを出している女性にしました。落ち着いていておとなしそうな女性です。
カラオケ設備のある狭いボックスシートのようなところに案内されます。みな日本名がついています。
「今日は混んでるほう?」
「ううん、最近お客さん少ないです」
「女の子は何人いるの」
「150人くらい」
(!)
さすが巨大カラオケです。
「毎日、指名されるの?」
「私は人気ないから、指名がない日も多いです」
「そんなことないでしょう」
「○○ちゃんは何歳?」
「29歳です」
「カラオケで何年ぐらい働いているの」
「4年です」
「故郷は?」
「×××です。バンコクから車で1時間ぐらい」
「年に何回ぐらい帰るの?」
「毎週帰ります。実は子供がいるので、子供に会いにいきます」
「ふーん。離婚したんだ」
「ええ、21歳で結婚して8年で別れました」
「えっ、じゃあ今年別れたの?」
「あっ、いや、あの。実は私33歳なんです。お店からは20代だって言うように言われてるので…」
嘘をついていたのがバレて、きまり悪そうです。
「子供は何歳?」
「12歳と11歳」
話を総合すると、21歳で結婚。すぐに年子で二人の子供を産んだが、何らかの理由で29歳で離婚。二人の子供を育てるために、田舎の両親に子供を預け、自分はバンコクに出て夜の仕事を始めて4年。
ここの店の給料システムはわかりませんが、前回の出張時に別のカラオケで聞いたところでは、この手の店の相場は、毎日の固定給が300バーツ程度。指名されればチップが100~数百バーツもらえる。持ち帰りに応じれば2500バーツ。持ち帰りなしの場合、月の収入はたかが知れています。
「この仕事、お金はたくさんもらえるの」
「そんなに多くないけれど、レストランなんかよりずっといいです」
飲食店の従業員はきっとすごい低賃金なんでしょう。
「たいへんだね。頑張って」
1時間後、延長することなく取材費500バーツを手渡して店を出ました。
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