追悼ジェームズ・レバイン 時代と共に去った寵児 (ASAHI news 2021/03/21)
3月9日に77歳で死去したジェームズ・レバインは、20世紀の米国という国の勢いと斜陽を体現する音楽家だった。
バンドマンの父から社交的な性格を継ぎ、ピアノも達者。歌手たちから伴奏をよく頼まれた。器用でオペラのレパートリーも膨大。
苦悩する天才というイメージは、あまりない。
その演奏はおおらかで若々しく、疾走感に満ちていた。
シューマンの交響曲の、青春の高揚を思わせる爽(さわ)やかな表情は唯一無二。
ホルストの「惑星」のような人気曲でも、グッとくるツボを心憎いばかりにおさえた。
ワーグナーやブラームスなど、重量感のある作品も積極的に演奏した。