'99年の夏が終わろうとしていた頃、私は、或る堰堤の上のプールで見つけてしまいました。水面付近に定位し何かを捕食している3匹の大きな魚たちを。
私は静かに近づきました。魚たちは、私に気づいているのかいないのか判りませんが、捕食を続けていました。
バックがとれず、距離もそれなりにあるので、どちらかと言うと、難しい釣りとなりました。
いろいろなフライを試しましたが、マッチしていないのか、ドラッグが掛かっているのか、その日は狙った魚は釣れませんでした。
次の週も行きました。同じように魚はいました。釣れなかったけど、フライへの反応から、たぶん、かなり小さいものを食べているということが、分かりました。しかし結局、釣れませんでした。
その次の週も行きました。すでに9月中旬になっていましたがまだ暑かったことを覚えています。
この年の前後数年間は9月末日まで釣りが可能だったことも幸いでした。
最初からミッジサイズのフライに絞って、キャストしました。腕を精一杯伸ばしてギリギリまでドラッグが掛からないようにフライを流しました。何度も流しました。そしてついに私の#22のフライは、ドラッグが掛かる寸前に、捕らえられました。
うまくあわせが決まりました。いきなりの強い引きで、相手が大きいことを、あらためて認識しました。小さい針に細い糸。無理はできません。時間をかけ慎重に引き寄せなんとかランディングすることができました。
大きく立派なヤマメでした。
ストマックからは小さな茶色の羽根アリ」が出てきました。
数日後、飛騨地方は、記録的な豪雨にみまわれ、多くの被害を被りました。
このヤマメ達も、どこかに行ってしまい、増水がおさまっても、戻って来てはくれませんでした。