かわいいコケ ブログ I'm loving moss!

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池上本門寺ふたたび ~その1:復活のホンモンジゴケ~

2016-06-09 15:24:21 | 東京コケスポット


▲ホンモンジゴケ/Scopelophila cataractae(2016年5月・東京都 池上本門寺にて)


オカモス関東のコケ観察会の翌日、関西へ帰る前にどうしても見ておきたいものがあり、私はとある場所へ向かっていた。

そこはこちら。


▲東京大田区にある池上本門寺


池上本門寺といえば、そう、コケ好きの方ならご存じ、
「ホンモンジゴケ」が日本で最初に見つかった場所である。
およそ100年前にこのお寺の境内に生えていたところを発見され、
銅ぶき屋根の下など銅を含む水が滴る場所に生えることから「銅ゴケ」と呼ばれている。

なぜ再訪したかったかというと目的は2つ。
こちらに生えるホンモンジゴケとミカヅキゼニゴケをチェックしておきたかったからである。

じつは4年前の初夏に一度、拙著「コケはともだち」の出版元であるリトルモアのプロモーション担当Fさんの提案で、
池上本門寺と近隣にある同宗派のお寺・本妙院の協力を得てこちらで「お寺 de コケさんぽ」というイベントをさせてもらったことがあった。

イベント自体は大変楽しく、参加してくださった方々からもおおむね好評で、
大成功に終わったのだが、いかんともしがたい残念なことが一つあった。

それは、このお寺の名を冠するホンモンジゴケの群落が一面茶色くなっており、風前の灯火のごとき元気のなさだったのである。
そもそも池上本門寺で発見されたこのコケを皆で見ることがこのイベントの最大の目的だったのに、当の主役が息も絶え絶えなんて・・・。

自分でいうのもなんだが、その時の私の残念がりようといったらなかなかのもので、
「こんなホンモンジゴケをカメラにおさめるのはしのびない」と、ほとんど写真も撮らなかったほどだ(でもいま思えば、記録のために撮っておくべきだった…)。
参加者たちもそのザンネンな姿にがっかりしてため息をつく人、言葉を失う人が多数いらっしゃった。

  ※なお、写真はほとんど残っていないが、私の落胆の様子だけは過去のブログで克明に記録されている。

なぜホンモンジゴケがこんなことになってしまったかというと、本妙院のご住職であるHさんいわく、
おそらく十数年前に行なった五重塔の改修工事が起因しているのだろうということだった。


さて、それから丸4年。

その後のホンモンジゴケはどうなっているか。
おそるおそるまたあの群落を見に行ってみると・・・



▲現場は本堂から歩いて数分のところにある五重塔




▲鉄格子の向こうにある五重塔の足元を見ると・・・




▲あら?!




▲あらら?!




▲いいぞ、いいぞ!




▲おぉ~!!


この日はとくに雨が降ったあとというわけでもなく、観察会のあった前日に続きよく晴れた日だったのだが、
かのホンモンジゴケの群落は、4年前とは打って変わって見事に復活!
やったー、よかったー!

ここまで見事に復活している姿を見るに、

(もしかして4年前に茶色くなっていたのは、枯れかけなのではなく単に乾燥していただけなのでは・・・)

という疑念が一瞬頭をよぎったが、いやいや、当時6月頭に行われるイベントのために
4月中旬から数度にわたり下見で現地を訪れて、この群落はチェックはしてきた。
そのたびに「次は緑になっていることを期待して、今日のこの残念な姿は写真に撮るまい!」と自分に言い聞かせ、
そうしているうちに、結局イベント当日に至っても緑の姿を拝めずじまいだったから写真が残っていないのだ。
この1か月半のあいだに一度も雨が降らなかったというのはちょっと考えづらい。

さらに、過去ブログの冒頭部分をよく読むと、イベントの「前日に夕立が降ってくれた」とまで書いてあるので、
雨が降った翌日でありながら、枯れかけの状態だったゆえに当時の自分はあのように嘆いていたのではと推測する。

いやはや、どちらにせよ今回は元気そうな姿が拝めてよかった。
約100年前に日本で一番最初に発見されたホンモンジゴケの末裔として、どうかこれからもお元気で。

ホッとしたところで、次はミカヅキゼニゴケのチェックのためにお寺に隣接する庭園「松濤園」に向かう。

 

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【コケ情報】 

大阪池田市にある「池田市緑のセンター」(五月山緑地都市緑化植物園内の施設)にて、

下記のイベントが開催されています(今日からです!)。


「コケの世界と写真展」

・会期:6月9日(木)~6月20日(月)09:00-17:00  ※ただし火曜日は休館
・開催場所:池田市緑のセンター(池田市五月丘5-2-5  tel 072-752-7082/阪急宝塚線池田駅からバスで10分ほど)

・入場料:無料
・イベント :6月12日(日)13:00~「こけと遊ぼう!苔テラリウムワークショップ」(参加費:1500円)

 

今回は当ブログのブックマークにも入れさせてもらっているブログ「そよ風の中で Part2」のSさんの

ミクロの世界の美しさを肉眼で見せてもらっているかのような圧巻のコケ写真が多数見られるほか、

手塩にかけて多数の種類を育てられているTさんのコケ鉢の数々、

大阪でお店も出されている「苔なっこ」さんの同じく一から育て上げたコケによるどれも一点モノの作品たち、

さらに「MossLight-LED」さんによる美しいコケテラリウムも見ることができます。

 

ゴールデンウィークの「KOBEコケ展」に続いて今度は大阪。

7月にはもうひとつ大阪でコケの写真展が、秋には例年通り京都でのコケ展も控えています。

今年の岡山コケの会関西支部(通称:オカモス関西)はイベントにアツいです!