▲焼却炉前に生えるヒョウタンゴケ(2014年1月兵庫県にて)
先週行われたオカモス関西の観察会へ行ってきた。
これが私にとって今年最初のコケ観察。苔見初めである。
まだほとんどのコケたちに春の訪れは見られず、
冬の寒さに葉を固く閉じてしっかりと乾燥していた。
しかし、
「雨にぬれ潤った姿よりも乾燥した時こそ、本来の特徴ある姿が見やすい」
とは、以前にコケ研究者の方に教わったこと。
そういった意味では、絶好の苔見日和だった。
なかでもこの日、クギ付けになってしまったコケの一つが「ヒョウタンゴケ」だ。
なぜってそれは、冒頭の写真にもある通り、
生えていた場所が「まさに教科書通り!」と
思わずうなりたくなるほどのベストロケーションだったから。
というのも、ヒョウタンゴケは湿った土上によく生え、
とりわけたき火跡や火災跡の土上に生えるのが大きな特徴。
灰耐性のあるコケとして知られる。
※また「アンモニア成分が多い人家の庭や畑などでもよく見られる」と
手持ちの複数の図鑑に記載がある。
さらに私の経験では、花屋さんで鉢モノを物色していると、
その鉢の土上に付きの同コケが生えているのをたびたび見かける。
焼却炉の目の前に大きな群落をつくる様子は
まさに本来あるべき〝正統派〟な姿といえよう。
▲道端に突如現れた昔ながらの古びた焼却炉。よく見るとその足元にはうっすら緑色が・・・
▲近づいてみると、炭の上からもヒョウタンゴケが生えていた。胞子体は古いが、植物体からは新芽が出始めている
ちなみに最近の研究で「金を蓄積する」ということもわかり、
コケ好きの中ではわりと話題にもなっているコケだ。
この日は古い胞子体しか見られなかったが、
新しい胞子体の旬は5~6月頃というから、
またその頃にはこの焼却炉付近が若い黄緑色ので覆われ、
さぞ華やかになっていることだろう。
▲壁面のレンガにもヒョウタンゴケがびっしり。そしてもう1種、また違うコケがいるようだが・・・?!
▲近づいてみるとゼニゴケと判明
ゼニゴケにも灰耐性があるのかしら?!と疑問に思ったが、
『蘚苔類研究』(日本蘚苔類学会の会報誌)の2012年8月号の
「新・コケ百選 第10回 ゼニゴケ科(苔類)」(執筆:古木達郎氏)を読むと、
「焚火した後によく発生する」と書いてあった。
これもまさにどんぴしゃな生育地。
いまはあまり使われていないように思われた焼却炉は
まさに彼らのために残された楽園のようであった。
そっと拝見させていただこうと思います
でも ご挨拶だけ
今日 素敵なお店で たまたま通りすがった
赤毛のアンの若い頃が好きな通行人です。
このたびはコメントありがとうございます。
本当に、コケって実は好きな人は多いようなのですが、コケが好き!とあえて声高に言う人は少ないですよね。
でも静かに好きという人が多いところがまた、私がコケに惹かれてしまうゆえんなのかもしれません。
気まぐれ更新ですが、また気軽にのぞきにきてくださいませ。そしてまた、あのお店でお会いできたら嬉しいです。
なんと、火葬用の焼却炉とは!驚きました。
そしてそうとも知らずずかずかと・・・・・・。
それにしても、人の終末や死後を表す表現に「苔枕」や「苔の莚」なんて言葉がありますが、ここに生えているコケほど、その言葉がしっくりくるコケはありませんね。いやはや、改めてびっくりです。