▲ベルンの古本屋さんのショーウィンドー。動植物を描いた古い細密画が並ぶ。
またまたのご無沙汰である。
涼しくなってコケも元気になってきたので
こちらも待ってました!とばかりに
出歩いているうちにもう10月。
「1年ってホンマ早い!」と
毎年思い始める時期でもある。
最近、コケにまつわる文化的なことをいろいろと調べているのだが、
コケってやっぱりあらゆる意味で地味な存在のようで、
サクラやバラ、キノコなど多くの植物が絵やオブジェ、
キャラクターなどのアート的なモチーフとなっているのに比べて
コケは取り上げられている例がとっても少ない。
せいぜいカメラの被写体くらいじゃないだろうか。
それでも時代をさかのぼっていくと、
大航海時代以降、世界中を旅したヨーロッパ人たちは、
行った先々で見た異国の動植物を精密なスケッチで
母国に紹介するようになる。
これが18、19世紀になると
ボタニカル・アート(植物の細密画)へ発展し、
その中にはどうやらコケもあった模様。
というのも、スイスの首都ベルンの古本屋さんで手に入れた
次のコケの絵は、店主によると1860年代くらいの作品であるという
(もちろん、オリジナルじゃなくてコピーですが)。
これはコケ好きとしては、
コケが主役として描かれている点において、
いわば貴重な「コケの肖像画」。
値段も15スイスフランとそれほど高くなかったので、迷わず購入。
折り曲がらないように荷物のパッキングに苦労しながら、
今回、持ち帰ったというわけである。
▲こちらが「コケの肖像画」。複数のコケがピックアップされている。
絵のタイトルは「Laub und Lebermoole」とある。
調べてみると「Laub」はドイツ語で「葉」、
でも「Lebermoole」は意味がわからず・・・。
しかし、描かれているのはまぎれもなくコケだろう。
残念ながら種類の表記はないけれど、土の上・石・倒木・水辺と、
コケが種類によって生える場所が違うことをよく表した絵だと思う。
▲一部を拡大。上のは葉の形との出方からすると
チョウチンゴケの一種に見える。下はゼニゴケかな?
▲石の上に生えているという点ではちょっと「?」だが、
葉の色形、ゴルフクラブのように首の折れたの形からすると、
ウマスギゴケとお見受けする。下にはカタツムリ。この遊び心が心ニクイ。
おまけ。
もう1枚持って帰ってきたこちらは地衣類の絵。
この絵は裏面にドイツ語で種類の表記があり、
サルオガセだとか、ヒロツメゴケモドキだとかの名前が書かれてあった。
今回でようやくスイスレポートも終わり。
書く間がちょくちょくあいてしまったせいか、
自分で言うのもなんだが、長かった!
次回からまた日本のコケと
それにまつわるステキな出会いについて
アツく語ります!
あの枝のは、サルオガセなんですって。
私たちが見ているものを同じように
昔の人も興味があったのかと思うと
ほんとにワクワクしますよね~。
<追伸>
渋谷の宮益坂を一本入ったところにある
「うさぎ」という小さなお店を知っていますか?
ものすごい蔦です。あれは見ごたえあります!