かわいいコケ ブログ I'm loving moss!

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コケ、旅、山が好き。コケとコケにまつわる人やモノの記録です。

暑中お見舞い申し上げます。

2018-07-26 11:34:06 | コケの本棚


▲コケカレンダー「苔暦2018」の中から。7月、オオホウキゴケ



またまたご無沙汰しております。
毎日、毎日、本当に暑い日の連続ですが、皆さまお元気でお過ごしでしょうか?

今年のこの暑さ、たぶん私が生まれてきてから体感した中でいちばん暑いのではないかと思うほど。
「暑い」というよりも、「あづいーー」や「熱っつ」とつい書きたくなってしまう、この耐え難い暑さよ…。
とにかく今は、不要不急の外出は控え、昼間は外に出ないのがこの夏を乗りきる最善策と考えて、
コケ観察よりも読書や室内園芸、コケグッズの整理などに勤しんでいる毎日なのであります(本当はコケを見に行きたいけど…)。


さて、今日はすでにご存じの方も多いと思いますが、コケ関係の新刊のご紹介です。



▲「部屋で楽しむ 小さな苔の森」(著者:石河英作、発行元:家の光協会、2018年7月17日発行)


コケテラリウム作家で「道草」ブランドを立ち上げてらっしゃる石河英作さんの初著書です。
テラリウムに向くコケ・向かないコケの紹介、コケ別の作り方・育て方、生長スピードなども押さえた親切な内容に加え、
コケの楽しみ方として「五感」を取り上げ、味覚・聴覚についても書かれているのがじつに石河さんらしい。
誌面には、石河さんのライフワークである〝ジャゴケ食研究〟の成果としてジャゴケを使った「モス(moss)バーガー」が紹介されていたり、
さらには、コケの遺伝子配列を利用して制作された〝コケ音楽〟が聴けるバーコードも付いていて、書籍として斬新すぎる!





また、テラリウムの本としては珍しく、ゼニゴケ、ジャゴケ、ムチゴケなどの苔類もテラリウム素材として扱っているというのも特徴的。
これも日本でも指折りの「ゼニゴケ馬鹿・ジャゴケ馬鹿」であるじつに石河さんらしい、ブレてない内容だなぁと。
              ※↑注)れっきとした誉め言葉です(笑)







じつは拙著『コケはともだち』を読んで、ぐぐっとコケの世界に入り込むようになったという石河さん。
私が講師を務めさせてもらった観察会に参加してくださったのをきっかけにコケ友になって早6、7年が経つ。

まさか同じ出版社からお互いにコケの本を出すことになるなんて、出会った頃は想像もしなかったこと。
初著書の完成を心からお祝いするとともに、コケで繋がるご縁って本当に不思議だなぁとしみじみしてしまう。




▲カバーの袖の部分には「コケの本」シリーズとして拙著も。おかげさまで今年7月1日に6刷目となりました


ちなみに家の光協会では、古くは「原色コケ・シダ」(著:井上浩/1980年)という専門書も出されていて、なにげにコケ本充実の出版社さんなのです。




●おまけ

コケとはまったく関係ないけれど「この本を手に取れてとてもよかった」と久々に思えた本。



▲「知らなかった、ぼくらの戦争」(著者:アーサー・ビナード、発行元:小学館、2017年4月2日発行)


読書が趣味の叔母からのお勧めでなにげなく読み始めたのだが、とても有意義な読書時間を過ごさせてもらった。
第二次世界大戦という重いテーマながら23人の戦争体験者の話はコンパクトな1話完結型で読みやすく、
個人個人が経験してきた事実とその時の気持ち(辛い・悲しいだけでなく、驚き・疑い・ピンとこないなども)には親近感すら湧いてきて、
「戦争を知らない自分が、ここまで戦争を身近に感じることができるとは!」という驚きと共に、
悲惨な時代を生き抜いた体験者の知恵やたくましさに、むしろ勇気をもらえたような内容だった。

また、池袋の高層ビル「サンシャインシティ」がどうして〝サンシャイン〟と命名されたのか、「ピカ」と「ピカドン」はなにがちがうのか?
日本とアメリカの「戦後」の捉え方のちがい、日本語を巧みに利用した政府の国民に対する意識操作(という言葉が正しいのかな…)などにも触れられていて、
インタビュアーとしてのアーサー・ビナードさんの手腕と推考の深さにも唸らされるばかりだ。

なお、各話の冒頭には必ず、インタビューを受けた戦争体験者ご本人とアーサーさんの2ショット写真が載っているのだが、
この本が執筆・編集されている間に亡くなってしまった方が何人もいらっしゃる(写真のキャプションに「2015年(ないし2016年)○月○日永眠」と書かれている)。
アーサーさんは本当にギリギリのタイミングで日本各地やアメリカを駆け巡り、彼らの声を記録したのだと想像するとさらに感慨深いものがある。
23人の中には、今年4月に亡くなられたアニメーション監督の高畑勲さんも含まれている。

アマゾンでも高い評価を受けている本なので、こちらもご興味がある方はぜひ。


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