「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

            大学卒の就職率の好転と中小企業

2012-05-16 06:07:36 | Weblog
文科省と厚労省の発表によると、来年度の大学卒の就職率が前年同期に比べて2.6ポイント上昇し、4月1日現在93.6%と4年ぶりに改善された。1997年にこの調査が開始されて以来、昨年は最低だったが、今年好転に転じたのは、多少景気がよくなったこともあるが、学生たちの間で、大企業志向だけでなく中小企業へも目が向けられてきたからだ、という分析もある。

僕が大学を卒業した昭和28年(1953年)は、戦後の学制改革で旧制と新制の大学で一緒に卒業者が出た年で未曾有の就職難であった。景気もそれほどよくなく、卒業式を終えても就職が決まらない友人も沢山いた。当時は役所と大学との間の就職を話しあう調整機関はまだなく、学生たちはかってに知り合いや先輩たちを頼って企業を訪問、情報を得ていた感じだった。「就活」という言葉はなく、リクルート.ス―ツもなく学生服での企業訪問であった。「職業安定所」(ハローワーク」に出かけたことはなかった。職業安定所はイメージとして失業者が職探しをする場であった。

当時をもやはり僕らは大企業志向であった。”寄らば大樹の下”ではないが、大きな安定企業を望んだが、僕らのような文学部卒は最初から試験が受けられないところが多かった。あれから60年近くたち、それぞれの人生双六を振り返ってみると、果たして大手企業に就職し、定年まで無事勤めたのがよかったのかどうか。友人の一人は卒業しても職がなく、進駐軍クラブでバーテンダーをやりながら大学院を卒業、大学の教授になった者もいる。小さな企業に勤めたが、時代の波に乗って会社が上場企業に発展、社長になった者もいる。人間努力が第一だが、運不運もあるような気がする。