「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

          境川部屋三力士の活躍と大相撲の人気

2012-05-15 06:41:10 | Weblog
大相撲五月場所も昨日、九日目を終え後半戦に入ったが、今場所は一人横綱の白鵬が、どうしたことか早くも四敗し、優勝争いは混とんとしてきた。大荒れの序盤での話題は横綱を二敗させ、大関を計八敗させた境川部屋の豪栄道、妙義竜、豊響の三力士の活躍だ。まだ人気が完全には戻らない国技館の場所を面白くさせている。

また古い話で恐縮だが、僕はこの三力士の活躍をみて昭和14年1月場所の出羽一門三力士を想いおこした。この場所は大横綱、双葉山がどこまで連勝をのばすかに注目が集まり、国技館は徹夜組のファンが出るほどの大盛況であったが、四日目に横綱がまさかと思われた初顔の安芸ノ海に敗れ連勝は69で阻まれた。そして翌5日目にも両国に負け、さらに六日目にも鹿島洋にも負けた。安芸ノ海、両国は出羽の海部屋、鹿島洋は一門の春日野部屋であった。

当時僕はまだ小学2年生だったが、双葉山の69連勝はよく覚えており、連勝を阻止するために出羽一門の力士が集まって、参謀役の早稲田大学出の笠置山を中心に連日策を話し合っていたことまで知っていた。今場所の境川三力士が横綱、大関打倒のため同じように作戦を練ったかどうかは知らないが、七日目に豊響が白鵬に勝ち、勝ち名のりを受けたとき顔に涙を浮かべていたのが印象的だった。後で聞くと、検査役をしていた師匠の境川親方(元小結両国)と土俵上で目があい、思わず涙がこぼれたのだという。

好い話である。二年前の八百長騒ぎやトバク騒動がうそみたいである。相変わらず、国技館は土日を除けば館内はガラガラである。が、こういった境川力士の活躍があれば、近いうちに、往年の大相撲の人気の回復も期待できよう。