「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

          「アルカイーダ」と半世紀前のイエメン

2012-05-24 06:19:47 | Weblog
イエメンの首都サヌアで「アラビア半島のアルカイーダ」(AQAP)の犯行とみられる自爆テロで96人の兵士が殺された。現地からの報道によると、イエメンでは昨年来の政情不安に乗じてAQAPの勢力が伸長し、南部のいくつかの都市はAQAPに占領され、その勢力下にあるという。

2001年の米国での同時多発テロの指導者オサマ.ビン.ラデインの先祖はアラビア半島南部のイエメン.ハドラマウト地方の出身で第一次大戦後サウジアラビアに移住してきた一家である。半世紀前の1962年11月,僕はイエメン王政革命後の取材のためイエメンと当時英国の保護領だった隣接の「南アラビア連邦」のアデンといくつかの首長国を訪れた。ハドラマウトはその首長国の一つである。

当時は米ソの冷戦下だったが、アラビア湾に面するアデンはソ連(ロシア)の影響力が強くサウジアラビアの支持を受けたイエメンとの間で勢力争いが続き政情は今と同じように不安であった。僕はアデンを根拠にしてラヘジやハドラマウト首長国にも出かけたが、記憶にあるのは貧しい昔ながらのアラビアの王様の国であった。ラクダが脱穀の臼の周りをゆっくりとまわっていたのが印象的だった。

石油が出ないイエメンは世界の最貧国の一つである。半世紀前イエメンの人たちはまだ独特の民族衣装をつけ腰に短刀をさし、口をもぐもぐさせてカートという麻薬の草を噛んでいた。今でもこの風景が見られるのかどうか。テレビの画面で見ると町は現代化されてきているが、政情は50年前とかわらない。その原因はカートにあるという説もある。(写真はイエメンの砂漠でエンコした車)