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memorandum&curiosity

中間利息控除 想定内?想定外?

2006年02月01日 21時47分30秒 | legal
不法行為等(たとえば、交通事故など)による損害賠償請求問題で意外と知られていないのが、中間利息控除の問題です。(実は自分も勉強するまでまったく知りませんでした。知らないのが普通だと思います。)

損害賠償の内容として、逸失利益、遅延損害金、慰謝料、実際にかかった経費(財産的損害)、ということになります。中間利息が問題になるのは、この中の逸失利益というところです。

※ 逸失利益とは、仕事で将来受け取るであろう収入のこと
※ 遅延損害金とは、支払期限に遅延した場合に課されるペナルティーのこと
  (交通事故を例にすれば、交通事故に遭った日からということになります)
※ 慰謝料とは、精神的損害に対する損害賠償のこと
※ 実際にかかった経費とは、交通事故に遭った被害者の手術費や入院費、それに伴う経費のこと

仮にみなさんが被害者の立場ならば、遅延損害金、慰謝料、実際にかかった経費等は、金額の提示された通りに支払われると思います。
問題なのは、逸失利益なんです・・・。
これは、損害賠償金のなかでも大きい金額を占めるので、被害者の自立を考えた場合に単なるお金の問題というわけにはいきません。

私が何を問題視しているのかというと、平成17年6月14日の最高裁判決で、中間利息控除が5%に決定したという事実です。
あまりピンと来ないかもしれませんが、たとえば、私の子供の頃は、コロッケが20円ほどで購入できましたが、現在では、80円くらいします。同じコロッケなのに、昔は20円で買えました。これは、昔の円と現在の円では、価値が違うことを意味しています。(私の子供の頃が何年前か言えませんが、なんとなく分かってください)

価値が違うので是正されることには、誰もが納得できると思いますが、今の超低金利時代に5%というのが、訴訟での争点なんですけど(今現在、銀行に行っても1%未満の利息が普通です)、最高裁の言い分としては、海外(特にヨーロッパ)では、5%の利率で、法定利率も5%という観点や、我が国の法定利率も5%(民法404条)という理由から決定されたようです。

私の知り合いM君を例にすると、事故当時25歳で年収360万円だったそうなので、裁判実務等では、67歳を就労可能年数としていることから、42年間就労すると算定されて、これに労働能力が50%落ちたならば、50%分を補填すると考えてから、さらに、中間利息控除を行います(実際は、ライプニッツ係数とかホフマン係数で計算されるそうですが・・・)。

金額は言いませんが、数千万引かれることになるので、びっくりします。なので、示談で提示される額から引かれるでしょうから、被害者救済とは名ばかりという気がします。


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