政府の意思決定手続きで、もっとも格が高いとされているのは閣議決定だが、急いで決めなければならないことは、「持ち回り閣議」と称して、閣議書を持って回り、閣僚に署名をさせることがある。
会社の稟議でも似たようなことをやっていた。決裁権限を付託された人が稟議書に捺印する前には、関係部署の合議を得ることになっている。書類を籠に入れて温める癖のある人もいるので、急ぐ稟議は、さっさと捺印させるように持ち回る。
ついでに最終決裁ももらってしまえと決裁者のところに持って行き、「これをやれば事故は絶対起きないようになるのか」などというバカな質問に「ものごとに絶対はありません」などと利いた風な返事をして判を押させたこともあった。
原発の設計条件を決めるときも、「事故は絶対起きない」つもりでいたのだろうか。
「持ち回り」に似た言葉に「持って回った」というのがある。
直接に表現せず遠まわしにものを言う、「角が立たないように」と、よく言えばやまとごころのやさしいところ、有態に言えばやわな面をだいじにする言い方である。
これを「ツノが立たないように」と読んだ人がいる。すぐツノを立てる人には気を付けてものを言えという意味かと思ったらしい。
こんなことを書くのも、言ってみれば持って回った話で、自分で滑稽に思えるのだが、こういうのを内部矛盾とでもいうのだろうか。
本題に入ろう。
エクセルにも「持って回った」関数があるのだった。Hさんも勉強会で説明されていたような気がするが、ボケ頭の記憶には確証がない。
日付データを曜日で表示させる場合、入力される日付を直接使わずに、=WEEKDAY(A1) などとわざわざ持って回った計算をさせる WEEKDAY関数というのがあるのだった。
横文字文化の人は、ものを直接言う習慣を持っていて、こんな回りくどい関数はないものと思っていたが、関数を作るのが楽しみという人の作品なのかもしれない。
ちなみに、曜日の表示は、そのセルをユーザー設定書式で aaa にすればよいだけのことなのだ。