海鳴りの島から

沖縄・ヤンバルより…目取真俊

MVー22オスプレイの飛行経路について

2012-02-05 21:34:22 | 米軍・自衛隊・基地問題

 沖縄防衛局のホームページに「MVー22オスプレイの配備に係る沖縄県及び宜野湾市への二次回答」が掲載されている。文書は平成23年12月19日付、ホームページへの掲載は1月31日付である。オスプレイの旋回飛行訓練の経路、騒音データ、騒音被害への政府の認識、下降気流や高温の排気ガスの問題、北部訓練場の自然環境への影響、事前調査の予定などについて、沖縄県と宜野湾市の質問に対する回答が記されている。
 沖縄防衛局は1ページで旋回訓練の飛行経路について以下の回答を載せ、2ページに図面を載せている。

〈MVー22は、普天間飛行場に既に設定されている飛行経路を飛行し、転換モードで飛行する場合は既存の回転翼航空機の飛行経路を、固定翼モードで飛行する場合は既存の固定翼機飛行経路を飛行する旨米側より説明を受けている〉

http://www.mod.go.jp/rdb/okinawa/kakubu/02kikakuibu/kikakubu-info/240131osupurei2jikaitou.pdf

 普天間基地では現在、回転翼機の場周経路が滑走路の東西に楕円形で設定され、さらに固定翼機の場周経路が東側に大きな楕円形として設定されている。沖縄防衛局はオスプレイがこの〈既に設定されている飛行経路〉を飛行するとしている。
 図面を見ると、回転翼機(オスプレイでは転換モード)の飛行経路は滑走路の近く、普天間基地内にできるだけ収まるように設定されている。しかし、飛行経路からの逸脱が日常化していることは、1月19日に開催された辺野古「移設」に係る環境影響評価書の審査会でも指摘されていた。
 また、固定翼機の場周経路は、滑走路の東側に大きな楕円形として設定されている。住民の生活地域上空をオスプレイが旋回飛行訓練を行うのである。それだけではない。在沖海兵隊は1月31日にオスプレイが、普天間飛行場だけでなく〈中部訓練場(キャンプ・ハンセン、シュワブ)と北部訓練場、伊江島補助飛行場で運用することを明らかにした〉(2月1付琉球新報)。

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-186936-storytopic-3.html

 基地間の移動で陸上を飛行するのは言うまでもない。中北部にすむ住民の頭上をオスプレイが飛び回るのである。オスプレイにはエンジン停止時のオートローテーション機能が欠落しており、さらに不時着時にローターがはずれ周辺に飛散する危険性も指摘されている。

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-186500-storytopic-53.html 

  沖縄防衛局が示した普天間基地におけるオスプレイの飛行経路を見ると、V字型滑走路を使って海の上を楕円形に飛行するとされている環境影響評価書の記述が、住民を欺くまやかしにすぎないことがよく分かる。普天間基地と同様の飛行経路で米軍がオスプレイを運用するのは自明である。V字型滑走路の東側(海上)だけでなく西側(陸上)にも転換モードでの飛行経路が設定され、固定翼モードでの飛行は広範囲に及ぶだろう。当然、基地間の移動訓練も行われる。
 「究極の後出し」と批判されたように政府・防衛省・沖縄防衛局は、環境影響評価の準備書段階までオスプレイについて記載せず、最終段階の評価書で初めて記載した。その上、基地間の移動については調査・考察・評価を行っていない。飛行経路はもとより騒音や低周波、高温の排気ガスの問題など、評価書の審査会では委員や住民から批判が相次いだ。
 沖縄防衛局は、辺野古では普天間基地の飛行経路より、はるかに制限された訓練を米軍が行うと言うのだろうか。むしろ逆である。人口過密地から解放されたと、米軍の訓練はさらに激しくなり、飛行経路も無視されるのは目に見えている。海の上だけを飛んでいて、実戦的な訓練は行えない。

 2月5日に宜野湾市長選挙が告示された。それに合わせるかのように、在沖海兵隊のグアム移転見直しが2月4日にいっせいに報じられた。グアム以外にハワイ、オーストラリア、フィリピンなどへのローテーションによる分散配置、辺野古「移設」とのパッケージ解除が言われる一方で、普天間基地の固定化という圧力が、宜野湾市の有権者にかけられている。

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-187123-storytopic-53.html

 辺野古「移設」か普天間基地の固定化か、という日米両政府の圧力をはね返すのは、宜野湾市民や沖縄県民の「県内移設」を拒否するより強い意思表示であり、普天間基地の早期返還を求める行動である。沖縄戦から67年、これだけ長期にわたり不当に占拠されてきた普天間基地は、無条件で返還されるべきだ。自衛隊法違反で沖縄の弁護士23人から告発されている真部沖縄防衛局長の選挙介入も、けっしてうやむやにさせてはいけない。

 


この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 辺野古新基地建設断念と普天... | トップ | 案内:枯れ葉剤問題について... »
最新の画像もっと見る

米軍・自衛隊・基地問題」カテゴリの最新記事