海鳴りの島から

沖縄・ヤンバルより…目取真俊

菅内閣発足と名護市議会の動き

2010-06-09 16:02:09 | 米軍・自衛隊・基地問題
 8日に菅内閣が発足した。ヤマトゥの大手メディアでは小沢対反小沢という構図での報道が目立つが、沖縄では普天間基地問題に臨む新内閣の姿勢に注目が集まる。しかし、前政権で「県内移設」を進め、2プラス2で共同声明を出した岡田外相や北沢防衛相の留任、島袋前市長ら新基地推進派を東京に呼んで会談を持ち、名護市民の分断を画策している前原国交・沖縄担当相の留任があらかじめ報じられていた。菅総理大臣も、辺野古「移設」=新基地建設を日米合意に基づいて進める、と発言しているのだから、新内閣が発足しても普天間基地問題に関する限り、沖縄では期待する人は少数だろう。
 鳩山前首相のような“揺らぎ”“ぶれ”が消えて、菅首相の下で岡田・北沢・前原、そして外務省・防衛省官僚が一体となり、辺野古「移設」=新基地建設の作業を強硬に進めていくのではないか。そう警戒心をはたらかせている人も少なくないはずだ。実際、鳩山首相退陣を利用して怒りの矛先をそらし、しばらくは表だった動きを抑えて裏工作を中心に進めることで、沖縄のマグマを沈静化させる方策がとられるだろう。しかし、その間も政府はできる作業から着実に進めていく。
 沖縄では辺野古「移設」反対の世論が圧倒的だが、まずはその切り崩しや分断工作が強化されるのは間違いない。名護市では稲嶺市長を包囲する動きがこの間進められてきたが、10日(木)に開会する名護市議会の冒頭に、野党から「辺野古移設の条件付き容認」決議が提案され、強行採決が目論まれていることが、以前から指摘されている。
 外交評論家の岡本行夫氏や前原沖縄担当相が、島袋前市長をはじめとした新基地建設推進派の有力者、野党市議らと会談を重ねていることを見れば、市議会で「条件付き容認」決議をあげようという動きが、政府と名護市の推進派との野合によって画策されていることは明らかだ。辺野古の行政委員会に続いて市議会でも「条件付き容認」決議をあげ、地元の「民意」としてキャンペーンを張ろうという狙いが見える。
 名護市議会の定数は27人で、議長は辺野古出身の推進派の議員が務めている。残り26人の与野党構成比は14対12で野党優位が言われているが、決議をめぐって水面下で激しいやりとりが行われているようだ。一市民としては議会を傍聴することくらいしかできないが、時間に都合のつく方は、10日午前10時に間に合わせて、名護市議会の傍聴席に詰めかけてほしい。
 仮に野党議員が「条件付き容認決議」を強行すれば、市民・県民から大きな批判を受けのは間違いない。5月28日の日米共同声明については、直後に行われた琉球新報と毎日新聞の世論調査で、県民の84%が辺野古「移設」に反対の意思を表している。賛成はわずか6・3%にすぎない。名護市でも反対は83・3パーセントを占めている。このような民意を無視して政府と手を結び、利権がらみの党利党略から再び市民を分断する決議を強行するなら、名護市民・沖縄県民は黙っていない。名護市の野党議員はそのことを肝に銘じるべきだろう。


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1 コメント

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市議会野党の姑息さは許せません! (ちんさぐぬはな)
2010-06-10 07:06:53
民主党中央の権威・権力の地位にある方々に擦り寄って沖縄島を売ろうと模索する名護市野党議員のみなさんは、多くのウチナーン人がその挙動を見ている、という事を胆に銘じるべきでしょう。恐ろしい意図に順じて、目先の利害に目がくらんで未来(希望)を殺す行為は絶対にやめてほしいです!日米に抵抗する名護であってこその精神の気高さです!大事なことを忘れないでください!「食べれない」のではなく、「食べていく」ために辺野古は不必要なのです。名護が永遠に歴史に清く刻まれることを念じています!
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