文庫『その日のまえに』(重松清)★★★★★
このブログを読まれている方の年齢層はおそらく20~30歳の方が多いと思います。その辺りの年齢になると身内の不幸というのが多くなってきます。私も昨年、祖父を亡くしました。私の周りでもそういった話を聞きます。年を取ると言うこと、月日を重ねていくことはとてもつらいこと、切ないことだと最近は思います。
しかしながら、「その日」は確実にやってきます。大切な人がこの世界からいなくなる日、「その日」。それがこの本のテーマです。短編集で、それぞれの話において大切な家族や友人が「その日」を迎えます。悲しい話です。この世に救いなどどこにもなく、どうしようもなく、受け入れるしかないことを教えてくれた気がしました。しかし、だからこそ尊く、愛おしく思えるのだとも思えました。
mixiでの評価も凄い高い作品です。私も★を5こつけました。電車の中で読んでいてついつい泣いてしまいました。他の人もレビューで「電車の中では読まない方がいい」と書かれていますが、まさにその通りです。家でじっくり読んでかみしめることをお勧めします。個人的には「友人のための送り火」の部分で一番来ました。
今年読んだ文庫本の中で一番です。笑える話ではありませんが、時の流れの残酷さと尊さを感じられる、意味のある話だと思います。
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