俺もお前も人生の敗北者

とりあえず否定から入るネガティブ思考で常にB級嗜好なATOPのブログ

ふちなしのかがみ

2013-05-30 01:13:06 | レビュー
ふちなしのかがみ (角川文庫)
クリエーター情報なし
角川書店(角川グループパブリッシング)


内容紹介
冬也に一目惚れした加奈子は、恋の行方を知りたくて禁断の占いに手を出してしまう。鏡の前に蝋燭を並べ、向こうを見ると――子どもの頃、誰もが覗き込んだ異界への扉を、青春ミステリの旗手が鮮やかに描きだす!


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もともと辻村氏はミステリー作家に分類されます。考えても見ればミステリーに不可思議な現象を加えると簡単にミステリーでなくなる。科学的な要素をぶっこめばSFだし、神秘性をぶっこめばオカルトだし、ちょっと怪しい怖さをぶっこめばホラーになる。そんで今作はそんなミステリーから一歩踏み込んだ作品、紛れもなくホラーである。

もともと、こどもや学生特有の気持ちの動きや思考を描くのが得意である作者が、そこに学校の怪談的要素や社会問題をぶっこんで、作者には珍しく後味の悪い終わり方を迎える短編集(もちろん、全部が全部ではなくて一部ハッピーエンドで終わります)。

トイレの花子さんの設定に現代の児童虐待を織り混ぜて描いた「踊り場の花子」。こっくりさんとこども心の危うさを組み合わせた「ブランコをこぐ足」。その他、世にも奇妙な物語的な作品がぼんぼんと、全5作品。

特別おもしろいわけではないとは思う。辻村氏らしさは光る部分は多分にあるのだけど、初めて手に取ったひとには「なに、この学校の怪談的な話」とか「あー、世にも奇妙な物語」ですねって思うはず。なんていうかな、大人が読んで「こ、これは…」って後ずさりするほど後味悪くないし、こどもが読めば「意味わかんないし」って思う。なんとなく、こどもの頃こんなんだったなぁと懐かしむような作品ですね。

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