ベイエリア独身日本式サラリーマン生活

駐在で米国ベイエリアへやってきた独身日本式サラリーマンによる独身日本式サラリーマンのための日々の記録

ムーンフィッシュ、ラビットフィッシュ、そしてカツオ

2021-02-07 09:47:30 | 食材
 ムーンフィッシュ、ラビットフィッシュ、そしてカツオとは、筆者が最近フィリピンスーパーのシーフード・シティで購入した魚のことである。筆者の2021年の長屋はサンノゼになった。3年前に暮らしていたサンマテオ周辺に戻り、当時ブログに載せた店や施設を再訪してみるのも楽しいかと思ったが、やはり“戻る”ことを考えると老け込むような気がする。それにどうせしばらく仕事はリモートのため通勤時間を気にする必要がないことも追い風となり、サンノゼを選んだのだった。サンノゼはサンマテオ以上にアジア系のスーパーが多くて楽しそうだ。そしてまたフィリピンスーパーに行ってみたのだ。


魚の詳細は以下のとおりだ。参照にしてもらいたい。



①シーフード・シティでの魚の買い方
シーフード・シティの鮮魚コーナーは人気なのでいつも人だかりができている。ここでは買いたい魚をビニル袋に自分で入れ、それをカウンターに持って行き、「クリーンのみ(鱗と内臓を取るだけ)、クリーン&カット(ぶつ切りまで)」などと好きなように調理してもらうシステムだから、調理不要なイカや貝などを買う場合をのぞけば、真っ先に鮮魚コーナーへ行って注文し、調理を待つ間に他のコーナーで買い物をすませないと無駄な待ち時間が発生するので注意したい。調理を注文すると番号札が貰え、それを受取り時に店員に見せる仕組みだ。調理コーナーの店員は次から次へと注文される魚を延々と捌いている。



②ムーンフィッシュ
ムーンフィッシュと表記された魚は平べったく、マンボウのようなかたちをしている。大きさは15センチ程度と、30代独身日本式サラリーマンの夕食の主菜に丁度よいサイズなので買ってみた。表面はツルツルで銀ギラでウロコはないようだ。こいつが海に優雅に泳いでいると月に見えるからそう名付けられたのであろうか。詳細を調べようとアルファベットでMoonfishと検索したのだが、どうやらMoonfishとは特定の魚を指すものではないようで、マンボウ状の魚がわんさか出てくる。シーフード・シティで売られているのは男らしく額がでっぱり、かつ腹が膨らんでいる。こいつは1パウンドで4ドル程度と、他の魚に比べると安く売られているので、人気がないのか、もしくはよく獲れるのであろう。さて、長屋に持ち帰り早速醬油、酒、生姜と砂糖で煮付けてみると、まず平べったいので煮汁が少なくて済むため非常に経済的である。味は淡泊な白身で悪くない。薄っぺらくいため肉付きがよくないが、盛り上がった額の肉は弾力があって特に美味であった。次は塩焼きにしてみてもよいと思った。



③ラビットフィッシュ
ラビットフィッシュはパウンド5ドルだ。こいつもまた小ぶりサイズなので買いやすいし、かたちはいたって普通の魚なので安心感があった。丈夫そうな皮に覆われやや黒ずんだ風貌は鯛の親戚のようだし、筋肉質で美味そうだった。だが長屋へ持ち帰って詳細をネットで検索すると、これは日本ではアイゴと呼ばれる魚で、内臓は特ににおいが強くて一部地域を除いては食べられていないとのことだった。検索を続けると、“マサル”という名の離島で暮らすユーチューバーが現れた。教室に一人はいそうな陽キャ寄りだけどどこか痛々しい、憎めない風貌のマサル氏はアイゴの臭いに悶絶していた。さて、北米のラビットフィッシュをムーンフィッシュ同様に煮付けてみたが、調理中には悶絶するほどの臭さはない。見た目はよい肉質の白身魚で、身ばなれもよくて食べよいのだが、分厚く弾力のある皮がなかなか箸でさばきにくい。口に入れたときは『美味かも』と思ったが、後味の磯の香りがかなり強い。東南アジア人はニンニクと一緒に焼いたりしているようだが、筆者はよほど安くない限り再挑戦はないなぁと思ったのだ。





③カツオ
10センチ程度の小ぶりサイズのカツオが、尾だけちょん切られて血抜きがされた状態で売られている。。ここではボニートと呼ばれ、パウンド3ドル以下とお手頃価格だったので、『あまり美味くないだろうな』とは思いつつも購入した。いい機会なのでウィキペディアでカツオについて調べたところ、カツオは熱帯気候の魚で水温が暖かくなる時期に日本近海までやってくる。その頃には大きいサイズになっているので小ぶりなカツオは市場にはいないようだ。また、面白いことに海外ではツナとカツオは区別されておらず、“ツナ缶”はほとんどがマグロでなくカツオなのだという。日本で生食が主流なのは加熱するとパサパサになってしまうからとのこと。今回のカツオはフライパンで焼き魚にしてみた。確かに脂があまり乗っていないソリッドな味で、血合い部分が多くて生臭さはあるが、素朴な味で悪くない。熱燗をちびちび飲む際のつまみにちょうどよいように感じたのだ。




 筆者は2010年代前半に、錦糸町のマルイの裏の“マリン”というフィリピンパブにはちょいちょい世話になったものだ。格安で飲めるし、フィリピーナは明るいし、呼び込みの人や客のおっさん臭や場末な雰囲気がなかなか心地よかった。また、数か月前にはたまたま戦国時代にフィリピンとの貿易で財をなした堺商人、呂宋助左衛門の伝記小説を読む機会があり、筆者とフィリピンとの関係は少しづつ深まってる。そういえば高校の頃には物理の木村先生が、何故だか忘れたが彼の尊敬する湯川秀樹が死去したときの新聞の切り抜きをクラスで紹介したことがあった。そのときの切り抜きには別のスクープの見出しも入ってしまっていて、大きく“伊藤、マニラで逮捕”と書いてあり、木村先生は真面目な顔で、『今日はみんなに紹介したい記事があります。これです、“伊藤、マニラで逮捕”。あ、じゃなかった湯川秀樹先生の死去です』とボケてきたので皆で笑ってしまったのだった。思えばあれが、筆者とフィリピンの最初の出会いだ。


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