中東の自由化と中国
最近になってエジプトのムバラク大統領が退陣に追い込まれた。
中東におけるこうした一連の反政府運動は、先に北アフリカでチュニジアでベンアリ前大統領が退陣に追い込まれたことに端を発している。このチュニジアの反政府運動はエジプトに飛び火し、イエメンやバーレーン、さらにイランにおいてもデモや騒乱が起きている。
こうした民衆の自由を求める歴史的な運動については、すでに200年以上も前に哲学者カントがそうした歴史的な運動を洞察して、自由を歴史の目的として定式化し、理念として認識したところである。
中東は日本からは地理的にも比較的に遠く、その影響も必ずしも大きくはないかもしれないが、それでも、私たち日本国民は生活に欠くことのできないエネルギーである石油の大半を、これらの中東の石油産出国に依存している。
私たちにとって問題は、こうした中東諸国における反政府運動が、経済的にも軍事的にも台頭の著しい隣国中国に果たしてどのような影響を及ぼすかということである。国民の自由の状況については共産主義中国も、これらの中東のアラブ産出国と中国は似たり寄ったりとも考えられるからである。
隣国中国の政治的な状況は、日本の独立にとっても重大な意味を持つ。中国の「民主化」は日本の政治状況にも大きく影響を及ぼさざるをえない。
先に中国はノーベル平和賞を授与された中国における民主化運動のリーダー劉暁波氏に対して、受賞のための国外出国も許さず、今も獄中にあって拘束されたままであるという。
中華人民共和国は国内にチベットやウィグル族やその他数多くの少数民族の問題を抱えており、それらに対する対応を誤れば共産主義国家体制の屋台骨も揺らぎかねない。また上海万博以降、中国の経済状況も、貧富の格差が拡大してバブルの様相を呈し始めているらしいことは、ネットなどのメディアからも漏れ聞こえて来るところである。
いずれにしても長期的には中国においても民主化の動きを止めることはできないだろうが、その民主化がチュニジアの「ジャスミン革命」ように比較的に平穏裏に遂行されるかどうかである。かって中国では1989年の天安門事件で民主化運動は、人民解放軍の戦車の下に押し潰されたという過去がある。
かって孫文の辛亥革命を日本人が支援したように、現代の日本国民もあらゆる機会を捉えて、欧米の自由主義諸国と連携しながら、中国の民主化を支援してゆく必要がある。人民解放軍野戦司令官を自称する小沢一郎氏にその例を見るまでもなく、日本の政治家たちの多くにそうした問題意識はない。このこともまた、彼らの哲学の貧困と無能力のゆえである。それはまた現在の日本の国内外の哀れな政治的状況とも無関係ではない。
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