「蓋を開ける」
空っぽの箱がテーブルの上に置かれていた
お菓子か何かが入っていて、子供たちが
その中身だけ食べて、放っておいたものだ
蓋が締まっていた、綺麗な箱なので
小腹が空いた僕も、少しは期待していたのだが
それで、テーブルの上の箱に、目が行ったのだが
蓋を開けてみると何も入っていなくて
ちょっとがっかりして
箱を仕舞わない子供たちに、少し怒ったりもして
けれど、これとよく似たこともある
その人に触れたくて、言葉を交わす
最初はおずおずと、恥ずかしく、探るように
けれど、あまりにも、話がかみ合わずに
笑顔を作っていることも、苦しくなって
心の中で、がっかりと、溜息をついてみる
その人の、蓋なんか開けなければ良かった
しょんぼりとしてしまう、がっかりと
僕は何を、期待していたのだろうと
もしかすると、お互い様かも知れないけれど
僕も変えようがなくて、それは先方も同じ
がっかりさせたかも、知れない自分に
自分自身が、落胆することもあって
心の蓋を開けてみたら、中から出てくるのは
恨みがましい言葉、退屈の呪詛、諦めの言い訳
臭いものに蓋をすることで、生きているなんて
ちょっと情けない、自分に打ちのめされて
また蓋をしてみたりする
蓋を開けっぱなして、心から
賑やかで、楽しい物が
いつも飛び出してくるといい
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