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風のささやき 俳句のblog

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春の庭【詩】

2025年04月03日 | 

「春の庭」

もう終わりかけの冬の匂いがする
溶けかけの薄い氷、水がしたたるように
潤んだ、まだ固さのある空気に
肌もまだ、少し緊張をする

殺風景だった庭にも、色が点りはじめた
例えば花開く黄梅、やがての紅梅
ハクセキレイも、庭に遊びに来る日
もう間近だろう、庭石も重さを失いつつ
あるように見える、苔も人知れず
新しい、緑に更新を始め、いじらしい

あなたの庭先にも、何かしら
華やぐものがあるかしら
家の奥にまで、届こう、届こうとする
乳白色の指先の陽射し
差し込まれた、窓の桟

あなたは、縁側から外に出る
まだ、足の裏に伝わる、木の肌は冷たくて
けれど、もう、家の中に、押しとどめるほどの
冷たさは、なくして

春の空に、雲は自由に膨らんでいる
冬の間はぎゅっと、冷たい手で押し込められていた

あなたの心も、春色に
辛夷、菜の花、桜
小手毬の花が開くように
春の空に膨らんで、自由に遊ぶように
息一つ、大きく吸った、心も楽にして

愛しさは消えない、嬉しい刻印
時々は切なくて、一思いに
花開きたいのに、待つ、長い時間もあって
もどかしく

けれどまた春に咲く
花も愛しさの刻印を、押されている
忘れない、忘れられない
精一杯の、高潔さを捧げようと

あなたは、その愛しさを
僕に、押し当ててくれた人
胸に、心地よい、温度、広がる

手を伸ばした先に
花咲く桜が、あることは嬉しい
それと同じように
自然と、触れることのできる
小さな手が、あることは嬉しい

桜は散ってしまうのに、その手は
いつまでも温かい、冬の、氷を解かす

春、あなたと歩いた場所をまた
一緒に、歩いてみたい
幸せな布団の中の、春の夢でも、いいから

あなたの家の庭先にも
きっと賑わいの陽射し、
沢山の花が、咲くといい
春の色



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