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風のささやき 俳句のblog

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合歓の木陰にまた 【詩】

2019年09月26日 | 

「合歓の木陰にまた」

合歓の木陰で休む
心には真っ黒な闇が広がる
白いテーブルクロスの
黒いインクのように

合歓の木陰に抱かれて
消えたはずなのに
一層 濃い影が体から滲み
僕が浮かび上がる

その底なしに
傍らの蟻も慌てて逃げる
きっと近づいてはいけない
僕は不幸の販売人

いつからこんな闇に
支配者されていたのだろう
あるいは闇自身が正体であることに
気が付いただけかも知れない

その闇に落ちてしまった
素直な笑いや怒り
悲しみを取り戻そうと
けれどその試みは徒労だった
嘆きさえも貪欲に飲み
広がる闇に黙って梢を見上げる

風が吹き
合歓の影もゆれる
葉の間から落ちる陽射しも
同化させる闇が
しっかり心を占拠している

合歓の木陰にも滲みだす
闇の濃さに動きだせずにいる