Are Core Hire Hare ~アレコレヒレハレ~

自作のweb漫画、長編小説、音楽、随想、米ラジオ番組『Coast to Coast AM』の紹介など

使い古される言葉とそうでない言葉の違いとは?

2015-12-02 22:07:35 | コラム

流行語大賞「政治的に偏りがある!」 ネット中心に批判噴出 事務局に意見も(産経新聞の記事より)

モノはなんでも使えば使うほど消耗して、最後は使えなくなって捨てられます。
それは基本的に言葉も同じです。
もちろん、言葉はモノではないですから、目に見えて悪くなったり少なくなったりはしません。
また、使うほど廃れるのなら、よく使う言葉から順になくなって日本語自体が成立しなってしまいます。

ですから、言葉には、使い古されるものとそうでないものがあります。

例えば、CMで「いつやるの?今でしょ」と名言を放ったカリスマ予備校講師がさっそうと登場します。
最初はそれに面白みを感じた少数の人間が話題にして楽しんでます。

そのうち、メディアにも取り上げられたあたりからが本番です。
個人的に一番苦手なタイプの調子乗りの若手サラリーマンが食いついてきます。
居酒屋で隙あらば「いつ芋焼酎頼むの?」「今でしょ」とねじ込んで騒ぎます。
この辺りから、カリスマ講師は何も悪くないのに、聞いてるこっちが恥ずかしくなる言葉になり始めます。

使い古されてしまう言葉には、ひとつ特徴があります。
「もとの言葉の文脈を無視して使われる」ことです。
本来「今でしょ」は受験生を奮い立たせる熱いメッセージです。
それが、昼休み小学生がドッジボールをする合図になった時点で中身は空っぽです。

本人の元を離れると、文脈は無視されやすくなります。
例えば「元気ですかー」のように、プロレスラーの名言はささやかに生き残ってるものが多いです。
これは、定期的に熱心なファンがモノマネをして言うので、本人の元を離れにくいのも理由のひとつです。

言葉というのは前の流れがあって使われるから、初めて大きな意味を持ちます。
皮肉なことに、流行語を選ぶ委員自身が流れを無視して、賞をただの自己主張の道具にしています。
こうなれば、この賞自体が陳腐化するのにそれほど時間はかかりません。

コメント
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