アートの周辺 around the art

美術館、展覧会、作品、アーティスト… 私のアンテナに
引っかかるアートにまつわるもろもろを記してまいります。

ボストン美術館 日本美術の至宝@大阪市立美術館

2013-06-17 | 展覧会

とうとうきょうで最終日を迎えた本展、昨日ギリギリセーフで見に行ってきました。最終日前ともなると、やはり激しく混んでいた!でも午後4時前に入って、最初の神仏関係は申し訳ありませんがほとんどサッと流し、後半の江戸絵画を中心に鑑賞。ひととおり見て回った後、ほとんど5時前くらいに再度展示室を戻っていくと、けっこうすいてて、お気に入りの作品をもう一度じっくりと見ることができました。混み混みだった絵巻物のブースもばっちり鑑賞。なかなかよいまわり方ができたと思います。

さて、以前訪ねたことのあるボストン美術館、確かに「日本美術」の扱いがとても大きかったことを覚えています。岡倉天心、フェノロサ、ビゲローの熱心な収集により一大コレクションを築いたとのこと、このへんの明治時代に入ってからの日本美術の扱いについては、もっと勉強したいと思っております…。なぜ、これほどの多数の優れたコレクションが海を渡ったのか?

今回、印象に残ったのはやっぱり曾我蕭白。昨年の「蕭白ショック」の興奮が再び!その奇想っぷりにはホント圧倒されました。めちゃくちゃおもしろかった狩野山雪の作品も1点あったのですが、同じ展覧会の中で比べると、やはり蕭白の自由闊達さが際立ちます。何だか見てると、眼が愉悦に浸ってしまう…って感じで、いつまでも飽きることなく眺めてしまうんですよね…激込みの展覧会で「ゆっくり前にお進みください」とか言われてもそれはできね~。

蕭白の筆の明快さには、改めて感心しました。ある意味ちょっと漫画っぽい?!人物の表現が何よりおもしろいんだけど、背景や風景も何かを語りたげな様子で。そして目玉は今回修復されて初お目見えの「雲竜図」。龍の顔は若干情けなくはあるのですが、画面の大きさはものすごい迫力!筆に勢いがあるというか、飛び散っている墨の点々がその勢いをいっそう感じさせます。大舞台で墨を自在に操っているという感じがとてもしました。

その他の出色として、尾形光琳の「松島図屏風」は、印刷物とは全く違う色の美しさに目が釘付けになりました。特に右隻のグリーンは何とも言えない美しい色!波形の細かさも素晴らしかったけど、これは山楽を見てしまうと、そこまで感動しない。でも、全体のバランスというか、デザイン的に「決まってる!」って感じがしました。

そして若冲!小さな作品ですが、「鸚鵡図」はすごかった!あのシルクスクリーンのような絵具の盛り上がりは何?めちゃくちゃ細かい線の透けるような白の美しさ!この作品とは再会だったけど、じっくり見ることができてよかったです。

それから絵巻物は、とても楽しいですね~。これこそホント、漫画の原点ですよね。今回の展覧会では、「吉備大臣入唐絵巻」の四巻すべてを見ることが出来て、荒唐無稽なストーリーもおもしろかったし、存分に楽しめました!

最後に大阪市立美術館、天王寺の地に残ってくれたことはとても嬉しいのだけど、確かに展示室とかは古いなと感じました。展示ケースにすごいゴツイ枠があって、作品を遮ってしまったり…。やはり改装の余地はあるなと感じます。また、こんなに人気の展覧会なのに、せめて金曜日の夜間開館やツイッターによる混雑状況のお知らせなど、他の開催館並みのサービスはするべきじゃないのか?と思ったりもします。これからも良い展覧会を開催し、美術ファンからノスタルジーだけでなく、真に愛される美術館であってほしいと思います。


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