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引っかかるアートにまつわるもろもろを記してまいります。

「琳派 京を彩る」@京都国立博物館

2015-11-03 | 展覧会

    

この秋のメインイベントといってもよいでしょう!ついに、「琳派」展で、ホンモノの「風神雷神図屏風」に対面してまいりました~!

今年、琳派誕生400年の記念の年。1615年、書や陶芸、漆芸で名を知られた本阿弥光悦が、徳川幕府から洛北鷹峰の地を拝領し、工芸を家業とする親類縁者を集め、光悦村を営んだことが始まりだといいます。

17世紀の光悦と俵屋宗達とのコラボレーションに始まり、18世紀の尾形光琳・乾山、そして19世紀にかけての酒井抱一と鈴木其一が大きな系譜と思われ、その流れに沿って作品展示がなされていました。特徴を私なりに申し上げるなら、金箔地・デザインちっく・たらし込み・トリビュートってところでしょうか。

まず、光悦と宗達の競作として、すっかり心奪われたのは「鶴下絵三十六歌仙和歌巻」。まるまる全てを見せてくれている思われる長~い展示、光悦の強弱の効いた自由闊達な書もさることながら、やはり宗達の描くリズミカルな鶴がスバラシイ!一見するとハンコで押したようにデザイン的に省略された鶴の形なのに、しなやかな動きに充ちていて生きているような躍動感です。いやあ、これはいつまでも見ていたかった…。

俵屋宗達の絵画で一番すごかったのは、「たらし込み」の技法で描かれた「牛図」。「たらし込み」とは、宗達が考え出したと言われる水墨画の技法で、うすい色や水に濃い墨をたらしてにじませる描き方で、この技法による牛2頭の体は、その技法の浮遊感とは真逆のゴツゴツした牛の筋肉がリアルに描き出されており、「なんだ、これは!!」って感じで驚愕しました。スバラシイです。

尾形光琳の作品もたくさんありました!こんなに一度にたくさん見たのは初めてかも。一番気に入った「竹梅図屏風」、竹も梅もデザイン化されているような描き方なのに、抒情があってカッコいいんですよね。弟の乾山の陶芸の自由な作風もとてもおもしろかったです。京都の高級呉服商の息子たちとして、裕福な暮らしの中で培われた、人々を魅了する趣味の良さみたいなものを、彼らのバラエティに富んだ作品から感じ取れたように思います。

そして、いよいよハイライトは、3人の絵師による「風神雷神図屏風」。宗達の作品を中心にコの字に展示されていました。このコーナーは、もう人がわんさかあふれていましたヨ!「鳥獣戯画」もたいがいでしたが、これも誰しも知っている、でもホンモノはめったに見れない作品のひとつなのでしょうね~。

まず目に入る尾形光琳の作品は、色彩が全体に鮮やかです。金箔もキレイですし、宗達の作品と比べると、特に右の風神さまの緑の明るさが際立っています。図像はそっくりなんですが、宗達の作品より、大きめに外枠を取っているので、宗達の風神雷神が画面いっぱいに飛び出しそうなのに比べると、こぢんまりしている印象を受けます。風神雷神の背景の黒い雲?は、光琳の作品は面積多めで目立っていました。

宗達の作品は、やっぱりオリジナルののびのび感があるように思いました。(と言っても、この図像も他の絵画からの借用だという話…)どちらも恐い神様なのに、ユーモアいっぱいのかわいらしいお顔!以前、建仁寺で見たレプリカよりは、やはり古さ、もしくは渋さを感じました。風神の足元の雲?は、茶色っぽかった。前に見たテレビ番組では、銀で塗られた雲が変色したということでしたが、元の色ってどんなだったんだろう?と興味深かったです。

そして酒井抱一の作品は、まさにトリビュートですね。彼なりのオリジナリティも加味した作品になっていました。解説を読むと、宗達の作品は知らずに描いたとのこと。3面の「風神雷神図屏風」に取り囲まれると、さすがの大迫力でした。

この脈々と受け継がれる「風神雷神図」。現代の作家たちもたくさん描いています。描くものも見るものも魅了するこのテーマ。おもしろいですね~。今、「琳派」をテーマにした展覧会が、いろいろなところで開催されていますが、先人の作風やモチーフやエッセンスを取り入れながら、自分なりのアレンジをしてきたことが、「琳派」の系譜なんだろうなあと思います。「琳派」を感じるには、もっと他の展覧会も行かなくちゃ!

場所は、京都国立博物館の本館ではなく、平成知新館で行われていました。3人の「風神雷神図屏風」の競演が見れるのは11月8日まで。日曜日の3時頃に行った私は、入るまで1時間弱待ち、会場内もそれなりに混んでいましたが、けっこうしっかり見れました。ぜひ天気の悪~い平日のすいてそうな時間を狙って行ってみてください。

展覧会は11月23日(月祝)まで。「琳派」を堪能できます!!

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