日々、あんのん。

からだの育ちの凸凹、学習のスタートラインにつけない人のもっと学びたい、発達したいを応援します。

自転車の荷台。

2015-03-16 16:11:10 | 発達応援
 しっとりと雨降りで、暖かいのですっかり春気分です。
もうそろそろ、山桜で遠くの山々がうっすらピンク色のところが出てくるのでしょうね。
何がある訳でもないし、変わる訳でもないのですが、
桜の季節は浮かれ気分になります。

 もう、あと、3週間ばかりで新入学のシーズンです。
今まで、慣れ親しんだ環境から、ちょっと変化があったり、
行動範囲が広がったりと、楽しくもあり、戸惑いもある季節が春、といった感じでしょうか?

 中学校で支援員をしていて、とても印象に残っていることがあります。

 その子どもは、支援クラスにいた子どもではなかったのですが、
行動を見ていると、色々と「?」と思うことが多い子どもでした。

 小学校の時には、ほとんどの子どもが近くの小学校に通っているので、
毎日、歩いて登校していたのだと思いますが、
中学校になると、自転車で通う子どもたちもいます。

 その子も自転車での登校だったのでしょう。
初めのうちは、気がつかなかったのですが、
新入学生の子どもたちが、部活動にも入りはじめて、
帰る時間が、ばらばらになりだした頃から、よく自転車小屋で見かけるようになったのです。

 何をしているかというと、
自転車の荷台に、鞄をのせてゴムひもで固定させているのです。
最初は、「ああ、今から帰るんだな」と気にも留めなかったのですが、
だんだん、「?」と思うようになりました。

 なぜなら、そこにいる時間があまりにも長過ぎるのです。
もしかしたら、ゴムが切れたのかな?と思い行ってみると、
ちょっと、びっくりしたのです。

 自転車の荷台に、確かに鞄はのっている。
けれども、それが落ちないようにとかけられるはずのゴムひもが、
まったく、そういうことは考慮されずに、ただ、なんとなく、かけてあり、
自転車を動かそうものなら、鞄は即落下の憂き目です。
よく、今まで無事に帰れたものだと、その運の良さに内心感服しつつ、
ゴムひもの掛け方を教えながら、荷台に鞄を固定して、その子を見送りました。

 注意して見ていると、どうやらその子は毎日、毎日、鞄の荷台固定に格闘していました。

 そして、何度教えても、ゴムを引っぱりながら固定することや、
左右に紐を渡していくなどという基本的なことができませんでした。

 おそらく、生活経験が少なく、どうしてそうしないといけないのか、
自分の頭の中で考えるためのモトがなかったのでしょう。

 しばらくして、その子は毎日、保護者の方が送り迎えをするようになりました。
その子にとっては、毎日の鞄の固定の特訓からの解放で、ほっとしたかもしれません。

 後々、その子とは一緒に勉強をすることになり、
新聞をヒモで縛る練習などもしました。

 子どもができないうちは、周りの大人の助けは必要です。
子どもによっては、自分もしてみよう!という気持ちを持ちにくい子どももいます。
何で困るか?なんていうのは、そのときにならないとわからないので、
あまりにあれもこれもさせなくちゃ!と思うと大変ですが、
案外、学校の勉強よりも普段の家での生活の中に学ぶことは散らばっているような気がすることです。
 
コメント
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