朝家を出て鎌倉江の島フリーパスで相模大野~藤沢まで行き、江ノ電で鎌倉まで行く。
江ノ電はレトロな車両で民家の狭い間を縫ってゆっくり走る、鉄道好きには堪らない路線。
鎌倉高校の辺りで海が視界に広がる。サーフィンをやっている人が無数に点在する。
鎌倉駅東口のイワタ珈琲店で念願の800円のホットケーキ食べブレンド飲む。
ホットケーキ木の切り株のように大きい2段重ねの逸品。
そのあと江ノ電の駅ナカのコトノイチで鎌倉コロッケ・ビッグ200円を食べて昼食は終わり。
鶴岡八幡宮のほうへ歩いて行き、神奈川近代美術館(鎌倉館)閉館を名残惜しんで回顧展を見る。
日本の著名画家を中心とした所蔵品展示だった。香月泰男の戦後の暗いタッチの絵があった。
香月泰男は戦前の明るいタッチのモダンな写実画が好きなのだが、シベリア抑留で画風が変わった。
過去の神奈川近代美術館の企画展を振り返るコーナーがあちこちにあった。
展覧会目録がいくつか出血値下げで売られていた。葉山館のほうでやった村山知義展の目録に目が行く。
イリヤ・カバコフ展のポスターが祝祭的で陽気でよかった。
私が鎌倉の近代美術館で見た企画展はドイツ表現派展が一番最初で、そのほかエゴン・シーㇾとウィーン世紀末展、シャガール展、カレル・チャペック兄弟とチェコ・アヴァンギャルド展が印象深い。
来るたびに近代美術館のパーラーでヨーグルト・ムースを頼んで食べていたので記念に今日もヨーグルト・ムースを名残惜しんで食べた。神奈川近代美術館は草のぼうぼう生えた池が見えて、鷺のような鳥が
飛んできたりして、結構のどかないい空間だったのに。
鶴岡八幡宮の隣ということもあって行き易く、何度か足を運んで若き日に目の保養をした場所である。
こういう素敵な立地の美術館を閉館するのはまことに残念である。老婦人が池をしみじみ眺めた後で、かつての思い出の人に話しかけるようにそれでは帰りますと独り言を言って去って行った。
坂を上がって別館の所蔵展も見て、静かに鎌倉を後にした。本当は公文堂書店という思い出の古本屋さんも寄りたかったのだが、数えきれない収蔵品を見て、過去の企画展を回顧して、少し疲れてしまった。
江ノ電で相変わらずサーフィンしている人影を横目に人家の間を縫って走る面白さを確かめて、お土産に半月ゴーフルで有名な花鎌倉半月五郎本店という菓子店の二つ星というお菓子を買って、帰途に就く。電車を乗り継いでようやく帰宅した。鎌倉近代美術館ともお別れである。
食べ歩き美術館とも語り合い名残惜しんで出る月を待つ