超人日記・作文

日々の随筆の合間に、短歌や俳句も登場します。

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<span itemprop="headline">ミヒャエル・ギーレン、気まぐれな美音</span>

2009-09-05 03:10:37 | 無題

ミヒャエル・ギーレンは不思議な指揮者だ。クラシックを現代音楽風に響かせる達人である。顔はマフィアのドンみたいで一筋縄では行かない風格がある。私はyamagishiKenichi氏のサイトでギーレンを知った。現代楽器でオリジナル派に対抗できるのはこれしかない、すごい名盤だとベートーヴェン交響曲全集を紹介してあって渇望感が湧いた。最初に手に入れたのはユーロアーツ社の3巻のベートーヴェンの交響曲DVD全集(ばら売り)である。これが3曲ずつ収録されているのだが、一枚1500円ぐらいで買える。ギーレンは無愛想だが渋いオケを粒立ち良く鳴らす才に恵まれている。カメラワークも下手に小細工しないで、指揮とSWF楽団の演奏風景を実直に映しているところがよい。演奏も無愛想だが、2番の第二章など美しい旋律は丁寧に歌う。
このDVD全集は激安だし醍醐味を味わえていいのだが、問題はベートーヴェン交響曲のCDである。これは元々インターコード社という所から出していて、灰色を背景にギーレンの気難しい顔が写っていてサインが印刷されているCDだったのだが、この販売をEMIが引き継ぎ、無事発売したのも束の間、数年で廃盤になってしまったのでなかなか手に入らない。海外のサイトで買ったり、中古で高値で買ったり、5枚全部集めるのに苦労した。私が高く買ったのを中古CD店で安価で売っていて一喜一憂したものだ。
演奏はCDの方が残響が多く突き放したような爽快な辛口のテイストである。私の持っているのは全てEMI盤だが、ギーレンの写真が怖い。無表情なのをさらに強調して撮ったジャケット写真である。5枚なかなか揃わなくて、4・7番が未入手だったのだが、中古CD店でみつけて目を疑った。実物だ。
余談だがギーレンとアンセルメは顔と音の質感が似ている。アンセルメのベートーヴェン交響曲全集は長らく廃盤で、デッカのイタリア盤で聞いていたが、最近国内外で再発売されている。これもモダンな響きのベートーヴェンで、ギーレンの先駆けである。弦楽器が弱く、金属的な響きがする。アンセルメのようにギーレンの廃盤のCDもやがては再発売されるのか。クラシック・ファンは、そのいつか来る「やがて」のときが待てない性質の人々である。現代音楽風に突き放した質感のギーレンがDVDなどで時折見せる繊細さが、胸をぐっと鷲づかみにする。



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