徒然俳句・ピーナッツぱん

内面を日記に書いて春を待つ
煩悩も風に吹かれて冬も尽く
冬籠り窓から見ても日脚伸ぶ

北風の町を歩いてコッペパン
この所　根雪も融ける暖かさ
通学路　樹氷輝き冬惜しむ　

妙案が滾々と湧く冬泉
凍て土に春の兆しが顔を出す
北狐　氷の橋を飄々と

寒風の窓の景色やピーナッツぱん
毛糸帽軽く被りて冬の雲
空腹の体に沁みる葛湯かな

徒然俳句・置きふくろう

寒日に玄関護る置きふくろう
宅配をマーラー聞きて冬に待つ
冬正午胡桃クッキーパン食す

冬土産仏蘭西仕込みクロワッサン
叔父さんは主に近場で冬を描く
向日葵の様なかたちの冬のパン

家のなか鳥獣戯画の冬絵巻
冬の日の証明写真好い写り
銀杏がレンジで跳ねて殻が割れ

小春空布団干すのに好い日和
コート掛け三寒四温で春近し
仕事終え冬の珈琲飲む時候

徒然俳句・レトロ玩具

冬届くレトロ玩具のつぶらな目
冬の宵ペン画の趣味を思い付く
下手な絵を丁寧に描く冬の筆

湯浴みする時間も忘れ冬のペン
思うより配送疾き冬包み
家中に描きたき物は多い冬

冬の本十分の一読み終わり
冬包み無事着きて今プラケース
ツイードのコートで歩く町の奥

寒日を杏仁豆腐で終わりけり
読む本の肝が判りて冬ぬくし
新しき自分に出遭う冬の日々

徒然俳句・冬机

古着屋でツイードコート八百円
明日辺り冬の仕事に手を着けむ
安かりしコートに使う毛玉取り

浪費する寒き自分と観る自分
寒日に貨物列車に飛び乗りて
買い物を終えて漸く冬机

星屑を窓から見上げ春隣り
二冬で繰り上げ受給もらう頃
疾走も転んだ事も多き冬

春を待ち自己治癒力を蓄える
あの頃は近所の丘でそり滑り
冬の朝レトロ玩具の場所作る

徒然俳句・人形譜

冬午前いちご紅茶に蜂蜜を
冬の街古着のツイードコート欲し
小春空何処の喫茶か決めかねる

寒暁にプチブライスを待ち侘びる
冬の町レッドキングはお預けに
間違って買いし全集隙間風

寒日に家計も減量するつもり
冬の本底なし沼の智慧の蜜
冬晴れに踊って貰う人形譜

春隣ベージュの色の編み靴や
冬進みスライドギター曲線美
冬土産ドライマンゴで脳甘し