新・本と映像の森 274 星新一「天使考」(『ようこそ地球さん』所収)
新潮文庫、1972年~2018年90刷。438ページ。定価本体670円。
p80~95。
ショートショートSF作家の故・星新一さんの『ようこそ地球さん』に載った作品のひとつ。
「天国はずっと独占事業だったので、天使たちは役人臭をおびてきた。」(p80)から始まる。
だらけた天使たちに、ついにある日、神さまは自分が創造した世界をやりなおすと言い出す。
自分たちが失業してしまうのに慌てた天使たちが神さまを必死にとめると、神さまはそれなら天使を2チームに分けて働きの悪い方は左遷すると言い出す。
天使たちは大天使ガブリエル組と大天使ミカエル組に分けられ、死者を天国へ運ぶ人数を競い始める。
いわば天国の民営化である。
死者争奪戦なのだが。
作品には地獄へ魂を運ぶ方は書いてないので、誰か地獄も含めて書いてくれたらおもしろいと思う。
この本のほかの作品も、かなり傑作があるので、機会があれば紹介したい。