雨宮智彦のブログ 2 宇宙・人間・古代・日記 

浜松市の1市民として、宇宙・古代・哲学から人間までを調べ考えるブログです。2020年10月より第Ⅱ期を始めました。

新・本と映像の森 291 竹岡俊樹『考古学崩壊 ー前期旧石器捏造事件の深層ー』勉誠出版、2014年

2019年08月15日 18時15分11秒 | 本と映像の森


新・本と映像の森 291 竹岡俊樹『考古学崩壊 ー前期旧石器捏造事件の深層ー』勉誠出版、2014年

 9月25日、A5版、293ページ、定価本体3200円、文献【 浜松市立中央図書館蔵書 】

 竹岡俊樹さんはフランスに留学し旧石器学を学ぶ。

 2000年10月に「捏造」「犯罪」が発覚した「前期旧石器捏造事件」。竹岡俊樹さんは。この事件で事前に科学的な立場から「捏造」を見破り、そしてそれを学会誌に発表した。

 学界の潮流に異を唱えたことで著者は、「捏造発覚前」の学界で異端視され、無視されるようになる。

 「捏造発覚後」の学界では、どうか。これが「捏造発覚前」の学界と同じなのである。同じように異端視され、無視されている。

 渦中のうちにいた著者が記録した考古学界のドキュメント。考古学界はなぜ藤村新一さんにだまされたかの解明だと思う。

 ① 藤村新一さんが石器を見る目があるかどうか。岡村道雄さんや鎌田さんらは藤村新一さんは石器を見る目がない素人だた言う。しかし竹岡さんは藤村さんは小学生から土器・石器集めが趣味で、かなり石器を見る目がある。

 藤村新一さんが「詐欺師」「魔術師」になる素養は十分あると見るわけですね。その点が他の人と竹岡俊樹さんの違うところだ。

 そしてボクは説得力があると思う。

 「藤村は小学校3年の頃から土器だけではなく、石器も拾っていた。鎌田や岡村に会った時、すでに彼らと同等、あるいはそれ以上に石器が見ることができたかのうせいが強い。・・・・・・では、なぜ、分からないふりをしていたのか。彼は学歴があり、人によっては上から目線の学者・研究者に対してくっきょくした思いを抱いていたのではないだろうか。最初から自分の方が石器を見ることができると思っていたのかもしれない。
 そうした彼ら研究者たちに石器を見せ、掘りだしてみせ、驚き喜ぶ姿を見て、彼らを侮蔑すると同時に喜びを感じていたのだろう。そして研究者の実力を見定めて石器を選択して埋めた。」(p192)

 ② いちばんの問題は「考古学者は石器を見る目がある」かどうかです。

 とくに旧石器について、縄文石器を前期旧石器にまぎれさせてもわからくくて、「層位は形式に優先する」という「理論」で捏造をごまかした。

 ③ 「考古学崩壊」後の現在の考古学界はどうか。

 著者は言う。「自然科学を駆使しても、石器が人口品でなければ全く意味はない。出土した石器を即座に判断できる目をもつ研究者を養成すれば、ほとんどの問題は解決する。」(p238)

 


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。