新・本と映像の森 28(古代3) 森浩一『倭人伝を読みなおす』ちくま新書、2010年
筑摩書房、217ページ、定価本体740円。
魏志倭人伝は、全文2013字、51行、これを古代史のドンが「読みなおす」という原文に即した解説をしていく。
ひじょうに興味深いし、地理的考察や考古学的目配りもしっかりしている。
魏志倭人伝の解説書としては、第1級のものと思う。
後半、中国権力の役割と卑弥呼の行く末も、おもしろい。森さんは倭国乱において、卑弥呼の比重が低下し、「卑弥呼以て死」で、卑弥呼が中国の命令で死に至った、とする。
考慮すべき学説であろう。
邪馬台国のその後も、どう考えるべきか、おもしろい。森さんは、邪馬台国のヤマトへの「首都移転」説を採用しているが、ボクの考えでは「首都移転」は無理だと思う。
「首都移転」ではなくクニそのものの移転、というより移住だったのではないか。このことは別項で叙述する。
< 目次 >
第1章 倭人伝を読むにさいして
第2章 東アジアのなかでの倭人伝
第3章 対馬国と一支国
第4章 玄界灘に臨んだ国々
第5章 狗奴国・投馬寉・邪馬台国
第6章 張政の役割と卑弥呼の死
第7章 北部九州からヤマトヘ
付載 『魏志』東夷伝抜粋