馬糞風リターンズ

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「青いバラ」が売り出されたそうです。

2020年05月05日 | 自然
この記事は2011年1月26日公開したものです。5年前記事を整理した時に削除しましたが、今回face bookuで「青いバラ」が話題になり復活しました。5年前の記事ですので今は状況は変わっているかもしれません。/span>

「青いバラ」が生花市場に出荷されたそうです。
サントリーが14年かかって開発したそうです。

青いバラが無かったのは、元々バラには「青い花の色素」を持っていないそうだからだと言われています。
そのために、従来から行われてきたような、交配による品種改良では、青いバラは生まれませんでした。

昨年、このニュースを聞いて大変興味を持って本を読んだり、専門家の人にいろいろと教えてもらいました。

 この種の話を理解するには、その分野の基本的な知識が無いと全く理解できません。
また、教えていただく先生方の説明の「上手い、下手」で理解度が全く変わってしまいます。

 今流行りの「遺伝子組換」技術で「青いバラ」は作り出されたそうです。
遺伝子組換と言ってしまえば「アァ、そうか」で何と無く納得してしまうのですが、学芸員の先生方の話や専門書を読んでみますと、そう簡単に「アァ、そうか」と行かない難しいことが沢山あります。

 バラの親木に、いきなり青色遺伝子を導入しても、花は青くならないそうです。
花の色は、細胞に含まれる色素によって決まります。赤い花には赤色の色素、黄色い花には黄色の色素といった具合に。
ところが、青い花は青色の色素だけでは青くはならないそうです。

 花を青くする色素はアントシアニンの仲間であるデルフィニジンという物質だそうです。
アントシアニンは、花の代表的な色素で、その種類は500を超えるそうです。
そのように多様なアントシアニンは、 構造の違いから6つのグループに分けることができます。
その中でも代表的なものが、シアニジン、 ペラルゴニジン、そしてデルフイニジンという3 つのグループである。
基本的に、シアニジンは赤 色から紅色、ベラルゴニジンはオレンジ色から朱 色、デルフイニジンは紫色から青色の花色となります。

 所が、青い花に関しては赤や黄色の様に単純ではなく、いろいろな条件の複雑組合せが必要となるそうです。
ゼラニウムのように、デルフイニジンがあっても青くならない植物もある。
逆に、ヤグルマギクやヒマラヤの青いケシとして知られ るメコノプシスなどでは、本来は花を赤くするシアニジンによって、
花が青くなっている。

 コピグメント、補助色素と訳されることもあり代表的なものにフラボノールやフラボンなどがあります。
このコビグメントとデルフイニジンと共存することで花を青くすることがあるそうです
逆に云いますと青色色素が有ってもコピグメントが無いと発色しないと云うことです。

 ツユクサの花が青色になるにはマグネシウムが必要です。また、花が青くなるためには、アジサイではアルミニウ ム、ヤグルマギクでは鉄、カルシウム、マグネシ ウムが必要とされます。
これは、青色を発色させるための条件として特定の金属元素が必要だと云うことです。

 アントシアニンは細胞の中でも、液胞と言われる部分に蓄積し、その液胞のpHがアルカリ性になると青くなるそうです。
以上、花が青くなるには、アントシアニンの他に、コピグメント、 金属元素、そして液胞のpHなど、いくつかの要因が必要となってきます。
だから、闇雲にとのバラでも青色遺伝子を導入したからと云ってそのバラが青になる訳ではありません。
そこが青いバラの開発に14年も掛った難しい理由です。

 それから大切なことは、まずは植物の細胞をばらばらの状態にしてから、ひとつの細胞に遺伝子を導入し、そして目的の遺伝子が導入された細胞を植物体にまで育てることです。
これを再生化と言い、再生化が難しいといわれているバラで、 再生化技術が確立されたことにより、バラに青色遺伝子を導入することが可能となったのだそうです。
 
ところで、上記の3つの条件をもっ品種は、数百品種の中から40ほどに絞り込まれ、その中で再生化に成功して、青色遺伝子を持つバラにまで、育ったのは20品種ほどだったそうだ。

青いバラ「アプローズ」の花言葉は、「夢かなう」だそうです。
青いバラが誕生するまでの14年間。幾多の困難を乗り越えて夢はかないました。

参考
勝元幸久・田中良和(2005)青いバラへの長い歩み化学と生 物43 : 122~ 126.
岩科司(2008) 「花はふしぎ』講談社
武田幸作(1996) 「アジサイはなぜ七色に変わるのか?」PHP研究所
最相葉月(2004) 「青いバラ』新潮文庫

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