馬糞風リターンズ

世ノ中ハ何ノヘチマトオモヘドモタダブラリト下ツテモオラレズ

地名の話。「揖保」(1)

2018年06月08日 | 地名・地誌
兵庫県たつの市に日山(白鷺山)があります。赤とんぼ公園や国民宿舎赤とんぼ荘があり、播磨の小京都として人気の散策道が整備されています。この辺りは古代から「揖保の里」と呼ばれていたようです。
倭名類聚抄では揖保(伊比奉)とあります。「イボ」(イホ)と云う地名は全国に散見され、それほど珍しい地名ではありません。例えば、現愛知県豊田市に伊保町と云う所があります。この伊保町には嘗て「伊保藩」と云う藩がありました。関ケ原の合戦後、東軍に与した丹羽氏が、1万石の大名として諸侯に列し、三河国加茂郡上伊保村(現在の愛知県豊田市)陣屋を構えたそうです。兵庫県高砂市にも「伊保町」と云う所があります。高砂市の「伊保」は元々は「美伊保」であったものが美称の「美」が欠落して「伊保」となったそうです。「美伊保」は「美保の松原」などの「美保」と同意です。

延喜式内神社粒坐天照神社は日山(白鷺山)山麓にあります。詠み方は「イイボニマスアマテラス」神社、通称「リユザ」神社。ご祭神は「天照国照彦火明命」。社伝によると「推古天皇二年(594)正月一日、伊福部連駁田彦と云う正直な長者が邸裏の杉の木の天辺に異様に輝く容貌端麗な童子姿を見つけた。この童子は天照国照彦火明命の使いとして現れ駁田彦に種籾を与えた。駁田彦はこの籾を持田や近隣の水田に蒔いたところ一粒萬倍し以後播磨の穀倉地帯となった。是が「イイボ」(揖保、伊穂、粒保、・・)の郡名の起こりなり」と。