馬糞風リターンズ

世ノ中ハ何ノヘチマトオモヘドモタダブラリト下ツテモオラレズ

葛城古道の難解地名「櫛羅」

2012年04月14日 | 地名・地誌
16日(月)に「葛城古道ウォーキング」があります。
4組HPにコース案内の地図がリンクされています。
当日、ウォークでも立ち寄る「鴨山口神社」の少し上に「櫛羅」と言う字地名があります。
この「櫛羅(くじら)」という地名は難解地名として知られています。
山国で海のないこの地区にクジラという地名があることで様々の地名解があります。

素朴に「太古、このあたりは海でクジラが泳いでいた」という説も当然のようにあります。
地球誕生からの歴史、地質時代のタイムスケールとたかだか1万年程度の人類の文明史とでは比較する対象が違いすぎるように思うのですが・・・。

 この地の地名説話があります。

登山口から10分程の所に「櫛羅の滝」があります。この滝は「一の滝」「不動の滝」「尼ヶ滝」等とも言われる。
そこに写真のような御所市観光協会が設置した「櫛羅」の地名説話を紹介した説明板があります。
「弘法大師がこの滝を訪れた時、この滝が天竺のクジラの滝に似ていることから供尸羅(くじら)滝と名づけ、それが地名の元になった。ただし、供尸という字は「供に屍」と書くので良くないと、領主の永井信濃守が「櫛」と改めた」と言うようなことが書いてあります。
 各地に伝わる地名説話がそうであるように、ここでも「後付け」で話としては面白いのですが信憑性に欠けます。

「クジラ」地名解
クジラと言う地名はそれほど珍しい地名ではなく、全国(北海道から沖縄)に分布しています。
勿論、長崎県五島市の「鯨埼」の様に文字通り「鯨」が回遊してくる事から付いた地名もあります。

 もともと「クジラ」「クシ・串」などは和語の「くじく」「くずれる」「ぐじぐじ」等、窪地・えぐり取られた・崩れたなどをあらわす崩壊地名です。
葛城の「櫛羅」もその語源とされる「櫛羅の滝」近辺の地形などを実際に見れば葛城山系の湧水や急斜面・脆い花崗岩地質など地滑り・崖崩れの痕跡などが彼方此方で見ることができ、崩壊地名が肯けます。

 余談ながら、ウォークコースの崇道神社は、早良親王(さわらしんのう)を祀った神社です。
早良親王は、桓武天皇の同母弟で藤原種継暗殺事件に連座して廃され、無実を訴えるため絶食して淡路国に配流の途中、河内国高瀬橋付近で憤死しました。
早良親王の死後、桓武朝内で不吉な事件事故が続き、早良親王の祟りであるとして幾度か鎮魂の儀式が執り行われた。延暦19年(800年)、崇道天皇と追称されました。
菅原道真と共に御霊信仰の代表的な早良親王を祀ったのが崇道神社です。